研究課題/領域番号 |
12571023
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
新谷 尚紀 国立歴史民俗博物館, 民俗研究部, 教授 (80259986)
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研究分担者 |
宮本 袈裟雄 武蔵大学, 人文学部, 教授 (40015889)
比嘉 政夫 沖縄大学, 法経学部, 教授 (10045198)
関沢 まゆみ 国立歴史民俗博物館, 民俗研究部, 助手 (00311134)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
2002年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2001年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2000年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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キーワード | トロメニ / パルドン祭り / 民俗信仰 / 習合 / 聖人信仰 / 太陽と火 / 奇跡の泉水 / 土と巨石 / ブルターニュ / tantad / feu de la saint Jean / Anatole Le Braz / 聖人伝説 / パルドン祭 / fontaine型 / tantad型 / menhir型 / tromenie型 / grande tromenie / pelerinage / 創唱宗教 / 教会 / プロセシオン / 聖なる泉水 / tantard / menhil |
研究概要 |
平成12年度から14年度の研究期間においてフランス、ブルターニュ地方におけるパルドン祭り(pardon)とトロメニ(tromenie)の祭礼行事の実地調査を重点的に行った。その資料情報収集と分析の結果.次のような点が注目された。(1)カトリックの篤い信仰が根強いブルターニュの生活文化の中にも、パルドンやトロメニの祭礼行事の伝承の場において、太陽と火、奇跡の泉水、土と巨石、に対する伝統的な民俗信仰が習合しながら伝えられており、教会や神父はそれら多様な民俗信仰に対して否定や拒絶ではなく黙認と許容の態度で臨んでいる実態が明らかとなった。(2)その信仰の実態においてはたとえば、Sainte-Anneという聖母マリアの母親への信仰の背景に同名のAnne-de-Bretagneというブルターニュの女王の伝説が存在し、さらにケルトの女神Hanaや海の女神Ahesへの信仰が重なるという、いわば信仰と信仰対象物の重層性がその特徴として注目された。(3)ブルターニュ半島一帯に広げた十数地区の現地調査によりパルドンとトロメニとの構造的比較が可能となり、A : fontaine(聖なる泉)タイプ、B : tantad(聖なる火)タイプ、C : menhir(聖なる巨石)タイプという3つのタイプのパルドンに大別できることが明らかとなった。(4)tantad(聖なる火)タイプのパルドン祭りの背景に、サン・ジャンの火(feu-de la-saint-Jean)と呼ばれる夏至の火祭りやケルト的な夏の初めのsain-Meenの火祭りなどの存在が明らかとなり、同時にそれらの複雑な習合の歴史が推定された。(5)パルドンやトロメニはブルターニュの聖人信仰を基盤とするものであり、その聖人信仰の特徴としてreliquesと呼ばれる聖遺骨への信仰が特に注目され、そしてそこには生者にとっての健康と幸運を祈る信仰と同時に死者にとっての死後世界の安穏を願う信仰が両者並存しているという点が特徴的であることが明らかとなった。
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