研究課題/領域番号 |
12572009
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
森下 哲朗 上智大学, 法学研究科, 教授 (80317502)
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研究分担者 |
石黒 一憲 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00009854)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
11,200千円 (直接経費: 11,200千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2001年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2000年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 国際金融取引 / 証券決済 / 金銭の帰属 / シンジケート・ローン / デリバティブ / 信認義務 / 金融監督 / 金融倒産 / 金銭 / 証券振替決済 / 信託 / 銀行監督 |
研究概要 |
本研究では、金融監督、法の適用、顧客との関係、金銭等の帰属と決済、通貨法、貸付取引、証券取引、デリバティブ、証券化・CDS、金融破綻処理といったテーマについて、日本・米国・欧州間の法制間の不整合に注意しながら、現状を整理するとともに、あるべき方向を示そうとした。その際、欧米の議論や裁判例等を参考に、同様の事態が我が国で生じたらどうなるのか、といった観点からの分析は有効な分析手法の一つであった。欧米と日本では取引自体は同じような取引が行われており、欧米で生じた法的問題は、日本でも生じる可能性が高いからである。ただし、わが国ではほとんど議論がなされていない問題も少なくなかったが、重要と考えられる問題について、一応の見方を示すことができた。成果として、10本の論文のほか、300頁超の報告書を作成した。 金融法は時代の流れに大きく左右される。昨今の金融危機を踏まえ、国際的に規制改革の動きが進んでいる。金融法に絶対の正解はなく、取引に参加している当事者、市場や経済の環境等に応じて、望ましい法制度は変化していくものと思われる。従って、日米欧の法制度間に不整合があること自体は、それが市場や市場参加者の違いを反映しているものであれば、自然なものといってよいと思われる。他方で、最近の金融危機は、金融が国際的に繋がっているものであること、金融取引が容易に国境を越えて行われるものであることを改めて認識させた。我が国の法学では国際的な視点が必ずしも十分に意識されないことが少なくなく、本研究の中でも、そのような国境を越えた法の適用や国際的な規制の連携の問題は、重要なテーマの一つとして検討を行った。 本研究を通じ、特に重要と思われた視点としては、以下のようなものが挙げられる。いずれも難題である。 ・官と民の望ましい関係は何か、どうやったら達成できるか ・公法的ルールと私法的ルールの最適な役割分担はどのようなものか ・自己責任と金融機関の責任のバランスをどう図るか 金融が望ましい状態を保つ最大のカギは、「節操」「バランス」であると考えるが、この「節操」や「バランス」の実現に法がどのように貢献できるかが今後の研究の課題である。
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