研究課題/領域番号 |
12573010
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
地質学
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
波田 重煕 神戸大学, 大学教育研究センター, 教授 (40036554)
|
研究分担者 |
吉田 孝紀 信州大学, 理学部, 助手 (00303446)
乙藤 洋一郎 神戸大学, 理学部, 教授 (90160895)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2000年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
|
キーワード | 黒瀬川地帯 / インドシナ地塊 / 南中国地塊 / 縫合帯 / 大陸の形成 / 古地磁気学 / 堆積岩岩石学 / 生層序学 / ヴェトナム / テクトニクス / 大陸衝突 / 古地磁気 / 古生代 / ソン・マ縫合帯 / 中生代 / 新生代 |
研究概要 |
本研究の目的は、ゴンドワナ大陸の分裂に始まり複雑な過程を経てでき上がったアジア大陸の形成過程を、日本列島の形成との関係において解明する事で、その重要な鍵を握るのがヴェトナムの変動帯とみなし、そのテクトニクスの解明に努めた。 研究代表者及び分担者はTran Van Tri(海外共同研究者)の協力のもとに、初年度はソン・マ縫合帯のテクトニクスの解明、放射年代測定用試料の収集及びRed River断層両側の中生界の古地磁気学的研究を、次年度はTruong Son褶曲帯の古生代堆積岩に関する石学的研究及びヴェトナム北部の古生界の古生物学的及び構造地質学的研究を、さらに、最終年度はインドシナ地塊とそれを取り巻くテレーンとの関係の解明を、目的として現地調査を実施した。現地調査の結果、(1)Red River断層以北のヴェトナム東部に中国から縫合帯が延びてくること、(2)Truong Son褶曲帯南縁には海洋底起源の付加体が分布し構造帯(NE vergence)を形成していること、(3)インドシナ大陸地塊の東限はHon Choi島より西側に存在すること、等が明らかとなった。 また収集した試料については、古地磁気学的研究、生層序学的及び年代学的研究及び堆積岩岩石学的研究を進めている。現在までに、(1)Red River断層の南側に分布する上部白亜系が示す古地磁気極は、断層北側の南中国地塊のそれと95%の信頼度で一致するのに対して、より南部のインドシナ地塊や西側のシマオ・テレーンのそれとは有意なずれを示すこと、(2)新に発見されたコノドント化石に基づいて、Truong Son褶曲帯南縁に分布する海洋底起源の岩石は、デボン系を含むことが明らかとなり、Son Ma縫合帯以北のテレーンはデボン紀にはゴンドワナ大陸から分裂していたとみなされること、(3)Son Ma縫合帯のplagiograniteの年代はオルドヴィス紀とみなされていいたが、ジルコンを抽出してU-Pb法により年代測定を行った結果、ペルム紀及びトリアス紀であることが判明し、テクトニクスを考える上で重要なデータとなること、(4)ヴェトナム北東部の縫合帯には古生代の珪質岩が含まれることから、南中国地塊における揚子地塊とカタイシア地塊との境界の延長部とみなされること、(5)Truong Son褶曲帯の中に分布するSon Ma縫合帯以南の古生界は、オルドヴィス〜デボン紀には陸弧的な環境にあり、ペルム紀になると火山活動や花崗岩の形成が活発化する。4億年代の変成岩の存在も考慮するとヴェトナムではこの部分が最も日本の黒瀬川地帯の地史と対比できること、等が明らかになってきている。 最近岩石のKon Tum地塊の変成岩の年代測定に基づいて、南中国地塊とインドシナ地塊の境界は従来言われてきたようにSon Ma縫合帯ではなくてより南のDanangを通る断層であるという考え方が示されたが、以上の調査結果もこのことを指示している。Danangの断層(あるいはTruong Son褶曲帯の南限)以北でSon Ma縫合帯までがインドシナ地塊と南中国地塊の間の縫合帯であり、そこには島弧等も含まれること、また、南中国地塊は、Son Ma縫合帯以北でRed River断層の南側の部分を占める揚子地塊と、その北東側に分布するカタイシア地塊で構成されることが明らかになってきた。
|