研究課題/領域番号 |
12575005
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
生態
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邊 邦夫 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (60158623)
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研究分担者 |
後藤 俊二 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (90093343)
榎本 知郎 東海大学, 医学部, 助教授 (80056316)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
2001年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2000年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | スラウェシ・マカク / 種間雑種 / 繁殖異常 / 交雑帯 |
研究概要 |
スラウェシマカクの中の2種、トンケアンマカクとヘックモンキー間には種間雑種個体群が認められるが、その範囲はおおよそ幅20kmほどであり、歴史時代を通じて長くこの状態が続いてきたものと考えられる。交雑が可能であるにもかかわらず、2種が同一化することなく、それぞれが独自の形態的特徴を維持している要因を明らかにするために、雑種個体群の中心部で2群を個体識別し継続観察を行った。これらの群れには、我々のこれまでの調査でも認められたとおり、皮膚病にかかった個体が多数おり、また奇形と思われる個体も何頭か存在している。2001年にはオトナメス20頭中7頭の出産があり、うち2頭が死亡した(出産率35%、幼児死亡率29%)。またこのオトナメスのうち3頭が消失している。まだ観察期間が不十分なため結論づけることはできないが、1989年以降継続観察しているスラウェシマカクの別種ムーアモンキーでは幼児死亡率が15%、オトナメス7頭中10年間に消失したのはわずかに3頭だったことなどを勘案すると、雑種個体群では出産率が低いこと、幼児死亡率が高いこと、オトナメスの消失が有意に高いことなどが示唆される。オトナメス消失の原因であるが、1頭は出産後の脱肛が治らないまま3ヶ月後に死亡しており、やはり雑種個体の形態異常がかかわっていると思われる。なお同様の例は同じ場所で1991年にも観察されている。また普通めったにないコドモザルの消失も認められた。このように雑種個体群ではハイブリッッド・シンクと呼ばれる崩落現象が起こっている可能性がある。また雑種個体群のコントロールとして、100kmほど北のヘックモンキー個体群の捕獲調査が平行して行われ、形態や生理、遺伝に関する調査が行われた。
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