配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2000年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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研究概要 |
スマトラ島中部,典型的な多々雨林気候下での低地帯から上部山地帯にかけての雨林に,ブナ科樹種(カシ・シイ類)がスマトラ全島で出現する50種中の40種が分布し,標高300-600mの丘陵帯で28種ともっとも多く出現した.丘陵帯林でのブナ科は,基底面積でも第1位の優占度を示した.丘陵帯林の植生は,地元民による利用の影響を受けていることを統計的な解析手法で明らかにした.高い優占度は,フタバガキ科が選択的に伐採されたこと,ブナ科の早い成長特性が択伐環境下で有利に働いたことが原因していると考察した.しかし,人為の影響が入らない原植生においても,その優占度はフタバガキ科と同程度のものであったと推定した. 発達した丘陵帯林での23年間の継続観測では,最近約10年間の基底面積の成長速度が,前半10年より低かった.これは,大径木の成長速度の減少と死亡率の増大に原因していた.この現象が,この地域の森林で広く共通して発生していた.その原因の一つとして,最近多発している異常乾燥の影響を考察した.大径木で影響が強く現れたのは,水分代謝量が大きいこと,非同化器官の増加に伴う生産効率の低下などが,環境ストレスによる反応を敏感にさせたものと考えた. 最近10年間の林冠木の死亡率は前半10年の2倍を超えていた.林冠木の枯死は既存ギャップ周辺で高かった.林冠ギャップ面積の発生速度から,林冠木の平均回転年数を45年と推定した.多発する林冠ギャップが,軟材・早成タイプの樹種群の優占度を高める方向に作用いた.
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