研究課題/領域番号 |
12575027
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小沼 操 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (70109510)
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研究分担者 |
辻 正義 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (10150088)
岩永 敏彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10160128)
杉本 千尋 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (90231373)
角田 勤 北里大学, 獣医畜産学部, 助手 (80317057)
大橋 和彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90250498)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
15,900千円 (直接経費: 15,900千円)
2001年度: 8,900千円 (直接経費: 8,900千円)
2000年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | タイレリア原虫 / 分子系統進化 / 主要表面抗原 / 遺伝的多様性 / ダニ抗原 / セルピン / カルレチクリン / 遺伝的多型性 |
研究概要 |
タイレリア原虫は全世界に分布している。日本のタイレリア原虫(Theileria sergenti)と類似の原虫は環太平洋,アジア,ヨーロッパに分布しているが、これらの原虫種の分類学的関連は不明である。本原虫は宿主体内で巧みに免疫を回避することや、感染がダニを介することなどによりいまだ制圧されていない。わが国においても本原虫による小型ピロプラズマ感染症は経済的被害が大きく本病の防除が強く望まれている。タイレリア属に分類される原虫は10種類以上知られているがT.parvaやT.annulataならびに日本を始め東に分布するT.sergentiはモノクローナル抗体を用いた抗原性状や原虫遺伝子の解析が進んでいる。しかし南アジア、豪州、ヨーロッパに分布するT.buffeliやT.orientalisの解析は遅れている。加えて北米、中南米に分布するタイレリア原虫(Theileria sp.)についてはほとんど解析されていない。 本研究は中南米の国々でタイレリア原虫ならびに媒介ダニを採集し、日本の原虫、媒介ダニと比較することにある。昨年度ブラジルから得た200検体あまりのウシの血液を解析したが全くタイレリア原虫は得られなかったことより、南米ではほとんどタイレリア原虫(とくに病原性タイレリア原虫)が分布していないものと考えられる。そこで今年度はダニに注目して解析した。それは世界に分布するタイレリア原虫の媒介ダニの唾液成分の遺伝子を比較することにより共進化していきたタイレリア原虫の相違を知ることができるのではないかと考えられるからである。そこでまず、ブラジルのBoophilus microplusやAmblyoma americanumでとられている唾液腺由来のカルレチクリンに注目した。カルレチクリンはカルシウム結合蛋白で、ダニの吸血の際宿主の補体活性化や血液凝固を阻害し吸血持続していると考えられている。そこでカルレチクリン遺伝子をアフリカのダニ、Rhipicehalus appeendiculatusのダニ唾液腺cDNAライブラリーよりRACE法で得た。その結果、この遺伝子は1224塩基で408個のアミノ酸をコードしていた。他のダニ(Boophilus, Amblyoma)の遺伝子と比較したところ、アミノ酸配列で87%〜94%の相同性を示した。次に血液凝固阻害に重要な役割をもつダニ唾液腺由来のセルピン(セリンプロテアーゼインヒビター)に注目し、アフリカのダニ、R.appendiculatusとHaemphisalis longicornisより同じくRACE法により遺伝子を得た。R.appendiculatusから4つ、H.longicornisから3つの遺伝子を得た。これらは大腸菌で発現させ、生物活性を調べている。
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