研究課題/領域番号 |
12575028
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
藤崎 幸蔵 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (00292095)
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研究分担者 |
長澤 秀行 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (60172524)
玄 学南 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 助教授 (10292096)
五十嵐 郁男 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (80159582)
神尾 次彦 (独)農業研究機構, 動物衛生研究所, 研究室長
井上 昇 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 講師 (10271751)
筏井 宏実 北里大学, 獣医畜産学部, 助手
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
2002年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2001年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
2000年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | ウマバベシア症 / Babesia equi / Babesia caballi / ブラジル / Boophilus microplus / Dermacentor nuttali / EMA-1 / 介卵伝達 / ピロプラズマ病 / タイレリア原虫 / バベシア原虫 / 血清抗体 / 媒介ダニ / DNA診断 / 住血原虫病 / ELISA / カピパラ / トリパノソーマ |
研究概要 |
ブラジルの畜産業は国内基幹産業として重要な地位を占めるだけでなく、21世紀には世界の食料庫としても重要な役割を果たすことが期待されている。しかし、家畜の多くは粗放な放牧形態で飼養されているため、ダニが媒介するピロプラズマ病によって、大きな損耗を強いられている。加えて、ブラジルなどの南米諸国は、ウシ、ウマなどの家畜導入がコロンブス以後という歴史を有するため、ヨーロッパやアジアなどに比べ、家畜の原虫病を含む各種疾病の流行の歴史がはるかに短いという、他に類のない大きな特徴を有している。しかも、ブラジルのピロプラズマ病媒介ダニの大半は、南米大陸固有の種類であることが判明している。したがって、約500年前に初めてピロプラズマ感染家畜に接して吸血機会を得た南米大陸のマダニが、どのような相互作用を経て「家畜-原虫-ダニ」の3者関係を成立させ、現在認められるような原虫媒介能を獲得したかについて明らかにすることは、南米諸国のピロプラズマ原虫の起源・進化を明らかにしうるばかりでなく、近年、内外で大きな問題になっている新興感染症(エマージング感染症)の成立に関しても、興味深い学術的示唆を得る可能性がある。このような背景から、本研究は、独自に開発したピロプラズマ原虫に対する遺伝子診断や組み換え体抗原を用いた診断技法を用いて、ブラジルにおけるピロプラズマ病の疫学と流行病原虫の性状を、分子・遺伝子レベルで詳細に明らかにすることを目標として実施された。 その結果、(1)野外マダニ体内におけるウマ原虫DNAの検出法を確立した。すなわち、ウマバベシア症の流行地であるブラジルのサンパウロ州とマットグロッソ州において、放牧馬に寄生する優占種がオウシマダニBoophilus microplusであることを明らかにするとともに、モンゴル国ウランバートル市周辺の草地からカクマダニの1種Dermacentor nuttaliを採集し、両マダニ種の卵、幼・若・成ダニ体内のB.equi、B.caballi原虫の存否を確認するためのPCR法を確立した。 (2)この研究によって、ブラジルのオウシマダニとモンゴルのD.nuttaliの2種類のマダニは、両原虫に高率に重感染していることと、原虫が介卵伝達によって次世代に伝搬される可能性を世界で初めて明らかにするとともに、ブラジルでは他の地域にみられることのないオウシマダニとウマの間におけるウマバベシア原虫の伝播経路が、コロンブス後の約500年弱で確立されたという興味深い事実が明らかになった。 (3)ブラジルとモンゴルで採集されたマダニの体内におけるウマ原虫DNAの多様性を明らかにした。すなわち、Babesia equiのEMA-1の遺伝子性状は、ブラジルのオウシマダニとモンゴルのD.nuttali体内の原虫間で著しく相違するが、標準株とされる米国のFlorida、USDA株はブラジルのオウシマダニのEMA-1に近似することが明らかとなった。
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