研究課題/領域番号 |
12576005
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
福島 昭治 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00137077)
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研究分担者 |
森村 圭一朗 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (30315999)
鰐渕 英機 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (90220970)
ALINA M Romanenko INSTITUTE OF UROLOGY AND NEPHROLOGY ACADEMY OF MEDICAL SCIENCE OF UKRAINE, DEPT.PATHOLOGY, PROFESSOR AND DIRECTRATE
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研究期間 (年度) |
2000 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
2003年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2002年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2001年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2000年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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キーワード | チェルノブイリ原発事故 / 膀胱癌 / チェルノブイリ膀胱炎 / 長期低用量放射線暴露 / 酸化的ストレス傷害 / がん関連遺伝子 / p53遺伝子 / Growth Factor Receptor / チェルノブイリ原子力発電所 / Growth Factor receptors / Fibroblast Growth Factor Receptor / Epidermal Growth Factor Receptor / 慢性増殖性膀胱炎 / 膀胱がん / 低用量放射線汚染 / チェルノブイリ原子力発電所事故 / 慢性膀胱炎 / 酸化的ストレス障害 / p38 / p50 / p65 / 8-OHdG / iNOS / COX-2 / セシウム137 / サイクリンD1遺伝子 |
研究概要 |
ウクライナのチェルノブイリ原発事故後、周辺汚染地域では過去15年間で膀胱癌の発生頻度が約1.6倍に上昇したと報告されている。その原因として現在も土壌中に残存する低レベルCs137の長期間暴露が考えられる。我々は臨床的に膀胱がん症状のない汚染地域住民の膀胱粘膜に、上皮異形成や上皮内がんを含む膀胱がんの発生率が、汚染地域住民の24時間尿におけるCs137レベルにほぼ比例して上昇していることを見いだした。我々はまた、汚染地域住民の膀胱に上皮異形成や粘膜内癌を高頻度に伴う特異的な慢性増殖性膀胱炎を見いだしチェルノブイリ膀胱炎と命名した。その膀胱病変においてはp53,p21,サイクリンD1等、様々な癌関連遺伝子が異常発現していると共にiNOS, COX2なども異常発現しており、この地域の膀胱病変発生には酸化的ストレス傷害が深く関与することを証明した。さらに、原発事故後に認められた膀胱癌が事故前に同地域で得られた膀胱癌と比べp53遺伝子変異頻度が有意に低く、この地域の膀胱癌発生のメカニズムが一般的な膀胱発癌と異なった経路で発症する可能性が示唆されたため、近年その異常発現がヒト膀胱発癌に深く関与すると考えられているgrowth factor receptorの発現を免疫組織学的に検索した。その結果、抗FGF-R3、抗EGF-R1、抗EGF-R2抗体について汚染地域の症例は非汚染地域症例に比べ有意に高い染色性を示し、汚染地域住民の膀胱粘膜病変の発生にはこれらgrowth factor receptorの発現も関与していることが判明した。以上、これまでの研究によりチェルノブイリ原発事故後の周辺汚染地域住民には膀胱癌が多発する傾向にあり、またその発生原因に関しては現在一般的に考えられている膀胱発癌経路と異なった経路で発生する可能性があることが示された。
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