研究課題/領域番号 |
12576019
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
松岡 裕之 自治医科大学, 医学部, 助教授 (10173816)
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研究分担者 |
平井 誠 自治医科大学, 医学部, 助手 (50326849)
新井 明治 自治医科大学, 医学部, 講師 (30294432)
吉田 栄人 自治医科大学, 医学部, 講師 (10296121)
川本 文彦 名古屋大学, 医学部, 助教授 (40115556)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
2001年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2000年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | グルコース6リン酸脱水素酵素 / 塩基置換 / ゲノムDNA / マラリア / 分子疫学 / 中国 / ネパール / アジア / G6PD / PCR |
研究概要 |
今年度はネパール、中国へ松岡が出張し、血液検体の収集にあたった。またベトナムからの研修生に対し、自国でグルコース6リン酸脱水素(G6PD)酵素の迅速検査ができるよう教育を行なった。マレーシアからはG6PD変異者の血液サンプルをろ紙に採って郵送してもらい、その試料からDNA抽出、PCR増幅をおこなって、G6PD分子をコードする遺伝子の読み取りに努めた。 今年度の知見のうち、特にネパールから持ち帰ったG6PD変異者が、G6PD Mediterranean(563C→T)であったことは興味深い。昨年度はマレーシアに住むインド系住民からもG6PD Mediterraneanがみつかっているが、ネパールの症例は1311番目の塩基に変異があり(C→T:地中海沿岸および中東で見られるMediterranean型)マレーシアの症例では変異がなかった(Cのまま:インド本国で見られるMediterranean型)。すなわちマレーシアのインド系住民は、先祖がインドから移り住んで来たことを裏付けている一方、これらネパール人の先祖はインド人に対してよりも、地中湾沿岸部や中東の国の人たちにより近いことが示唆された。 中国では北部の瀋陽市郊外に住む3歳の男児よりG6PD変異症が発見された。G6PD遺伝子を読み取ったところ、エクソン11において1339G→Aであることが分かった(447GlyがArgに置換)。この変異型はG6PD Santiago de Cubaと呼ばれ、過去にキューバ人から検出されている。中国人からの報告は本症例が初めてである。患者血族を訪ね面談を行ない、文書による同意を得たうえで検索した結果、その母親がヘテロであることを確認した。G6PD Santiago de CubaはHirono et al.により日本人(岩手県在住)からも一例みつかっている。岩手県は日本人の先住民族(縄文人)が比較的多く残っている地方であるといえる。今回の中国人の一例は中国北部からみつかっているが、日本人の先住民族(縄文人)は中国本土からサハリンを経由して移り住んできたという説に寄れば、日中の両G6PD変異者は共通の祖先をもっているのかもしれない。
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