研究課題/領域番号 |
12576024
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
病態科学系歯学(含放射線系歯学)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
朔 敬 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40145264)
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研究分担者 |
鈴木 誠 新潟大学, 歯学部附属病院, 講師 (50107778)
大城 和文 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50332648)
程 くん (程 ?) 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40207460)
依田 浩子 (依田 浩子(米持 浩子) / 依田 浩子(米持)) 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60293213)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
15,200千円 (直接経費: 15,200千円)
2002年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2001年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2000年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
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キーワード | リンパ上皮腫 / 唾液腺腫瘍 / EBV / LMP-1遺伝子 / 遺伝子多様性 / 細胞培養 / PCR / 発癌性変異 / DNAシークエンス / LMP-1 / 30bp欠損 / in-situハイブリダイゼーション / 中国 / ロシア |
研究概要 |
(1)症例収集・EBV遺伝子発現検定実験:中国・韓国・ロシアより収集しえた唾液腺リンパ上皮性癌(LEC)症例は合計180例の組織切片について、免疫組織学的にEBVの遺伝子のひとつLMP-1の発現を検討した結果、約50%の症例で陽性反応がえられ、組織保存性からほぼ全例での同遺伝子発現が推定された。 (2)ウィルス解析実験:(1)項のDNA標品をPCR法によってLMP-1遺伝子を増幅し、40例についてはC末端、12例については全領域の塩基配列を決定した。その結果、従来強調されたC末端の30塩基欠失は同遺伝子の地理的な多様性のひとつに過ぎず、むしろ細胞膜貫通領域ほかに新たにみいだされた変異ないしは多様性が発癌機構に関与している可能性がしめされた。さらに、20例についてはLMP-1遺伝子のプロモータ領域の塩基配列を決定した。その結果、鼻咽頭LEC由来のCAO系と67%が類似する34種の変異が全例に共通してみられた。これらの変異は転写因子認識部位でみられたので、プロモータ機能の低下が生じていることも示唆された。 (3)EBVのリンパ上皮腫細胞への感染経路の解析実験:マイクロディセクション法とPCR法をもちいて、リンパ上皮腫組織上でウィルス感染経路を検討し、CD21の関与のないこと、SC-lgAのトランスサイトーシスは否定できないこと、マクロファージがその感染と代謝に関与していることがしめされた。 (4)NFkB活性化定量実験:(2)でえたLMP1全長塩基配列を発現ベクターにくみこみ、293細胞にトランスフェクトしてNFkB活性を検定したところ著明な増強がみられたが、同時に細胞増殖抑制もしめした。プロトタイプB95-8やCAOも同様であったので、LMP1変異の発癌性に関してはさらに検討が必要である。 (5)培養細胞による実験:中国側共同研究者の上海第二医科大学病院で外科的に切除された唾液腺リンパ上皮腫5症例から培養系に移すことを試みてきたが、3年の研究期間後に初代培養をへて増殖を続ける細胞の単離に成功した。これらの細胞にはEBV遺伝子および同遺伝子産物を確認し、EBV感染が維持されていることが判明した。今後も培養方法を改良して株化につとめる計画である。 総括:以上の結果、唾液腺リンパ上皮性癌に感染したEBV側の遺伝子変異情報には大きな新知見がえられた。今後LEC感染EBVのがん原遺伝子の機能的解析をすすめることによって、同癌腫の発癌機構に関して新たな研究が展開されうる可能性が開かれたことはきわめて有意義であった。
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