配分額 *注記 |
15,200千円 (直接経費: 15,200千円)
2002年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2001年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2000年度: 9,800千円 (直接経費: 9,800千円)
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研究概要 |
海外共同研究者のDao博士(ベトナム国立自然科学技術センター・生物工学研究所副所長)を中心とした研究グループと我々による共同研究でG6PD欠損症の新生児の濾紙血によるG6PD欠損症のマススクリーニングが軌道に乗り、Hanoi市内の新生児から5,899検体の濾紙血を収集した。これらをホルマザン法で検索した結果、陽生率は3.1%であった。この値は我々がフィリピンで行った結果とほぼ等しい。しかし、Hanoi近郊のHoa Binhの全域では18%と高値で、これをHoa Binhに在住するMuong族に限ると32%と高い頻度で検出されることが明らかになった。 インフォームド・コンセントを得た上で、北部ベトナム(Hanoi, Hoa Binh)、中部ベトナム(Khanh Hoa, Hue)、南部ベトナム(Ho Chi Minh City)の各地域から遺伝子検索用の検体として137検体が今期間中に収集できた。これらにはKinh族、Muong族、Katu族、Thai族、Raclei族およびTay族が含まれていた。これらの遺伝子検索の結果、Gaoha, Chatham, Chinese 5, Viangchan, Union, Canton,およびKaipingの7種のVariantが検出された(検出率72.3%)。種族別にみるとMuong族ではUnionがKatu族ではViangchanが多かった。また、Kinh族では、Viangchan、CantonとKaipingがほぼ同程度に認められた。他の種族では例数が少なく、それらの傾向を窺い知れなかった。 高頻度に欠損症が検出される地域においては女性からヘテロ型が高頻度に検出されただけでなくホモ型あるいは2種の異なったVariantを有する検体が含まれていた。 ベトナムの近隣諸国であるインドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピンおよびタイで我々が行ったG6PD欠損症の分布パターンと対比した場合、ベトナムで今期の遺伝子検索で検出された7種のVariantはこれらの諸国で普通に認められるVariantであった。しかし、ベトナムの検体について我々の開発したMPTP法でのVariantの検出率が低かっただけでなく、Mahidol, MediterraneanおよびVanua Lavaが検出されなかったことが特徴的であった。 本研究で得られた我々の研究結果は「ベトナムにおけるG6PD欠損症の分子疫学的調査」に更なる研究課題を残すこととなった。
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