研究課題/領域番号 |
12610001
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今井 知正 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50110284)
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研究分担者 |
門脇 俊介 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90177486)
宮本 久雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50157682)
山本 巍 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70012515)
野矢 茂樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50198636)
高橋 哲哉 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60171500)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 歴史性 / ナショナリズム / 物語行為 / ナショナル・ヒストリー / 物語の抗争 / 相対主義 / 判断 / 自己と他者 |
研究概要 |
2年間の研究の中心は、古代から現代に至る哲学的言説の中で、歴史へのアプローチがいかになされ、歴史の偶然性、事実性、出来事性等と哲学的合理性の間にどんな関係が追求されていたのかを、20世紀以後の新たな歴史意識に照射して再検討することだった。1)戦死者追悼演説と哲学言語のプラトン的対比、聖書の言語を出来事としてのイエスの記憶と証言として解釈する可能性等を検討し、古代や中世の哲学においてすでに戦争による大量死、民族的苦難等の要因が哲学に歴史性の問題を持ちこんでいたこと、しかし、ギリシャ思想では.「永遠なるもの」への志向が歴史に独自の合理性を見ることを妨げていたことを解明した。2)近代については、(1)カントまでは非歴史的思考が優位だったが、フィヒテの『ドイツ国民に告ぐ』等、ナポレオン戦争時にドイツに生じた「抵抗のナショナリズム」を動因として哲学的ディスクールの歴史化が始まったという見方と、(2)カントの『判断力批判』においてすでに、思考の言語被拘束性の自覚を通して非歴史的アプリオリズムの克服が始まっていたとする見方が対立し、決着を見ていない。3)現代の歴史哲学の有力形態である「歴史の物語論」を検討した。1年めには、歴史叙述を物語行為に還元し、「過去自体」の確認不可能性を主張するこの立場は独断的歴史哲学への批判としては妥当だが、歴史のフィクション性を前提し利用しつつ登場する「国民の物語」としてのナショナル・ヒストリーへの批判には無力で、逆にそれと両立しうること、歴史的責任が問われる場面では「物語の多様性」を擁護するだけでなく、判断による何らかの物語へのコミットメントが要請されること、等が確認された。2年めには、さらにその歴史における判断の正当・不当にいかなる尺度がありうるかを検討したが、この点について決着を得るためには、自己-他者関係の原理的究明が必要であることが明らかになった。
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