研究課題/領域番号 |
12610021
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
印度哲学(含仏教学)
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研究機関 | 中京女子大学 |
研究代表者 |
山口 しのぶ 中京女子大学, 人文学部, 助教授 (70319226)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ネワール仏教 / 仏教儀礼 / 観想法 / マンダラ / タントリズム / 供養 / 護摩 / サーダナ / ネパール / 密教儀礼 / ホーマ |
研究概要 |
本研究では、カトマンドゥ盆地に古くから住むネワール人たちの間に残るネワール仏教儀礼の一つ「千投奉献護摩」を取り上げ、文献研究と現地調査によりその構造を明らかにした。千投奉献護摩は古代インドのシュラウタ・ホーマの伝統を受け継いでいるが、中に複数の供養(プージャー)を含んだ複雑な形態をとっている。この護摩は1.予備的儀礼の「瓶供養」および、2.中心的儀礼の「護摩」からなる。1はさらに(1)師マンダラ供養、(2)三三昧、(3)瓶に入れられた本尊の供養、に細分される。(1)の師マンダラ供養では、僧は「師マンダラ」と呼ばれる円に、師金剛薩〓を招き、供養を行なう。(2)では無上ヨーガ・タントラ系のチャクラサンヴァラ・マンダラの観想と供養が行われる。(3)では護摩の本尊を瓶に招き供養した後、本尊と僧との合一が図られる。 2の護摩は(1)炉の浄化と点火、(2)アグニ神への奉献、(3)本尊への奉献、(4)バリ供養および聖地供養、(5)弟子の浄化、(6)炉を供物で満たすための奉献、(7)残りの供物の奉献、(8)諸尊等の送り出し、の8つのプロセスからなる。(1)において僧は「約束の存在としてのアグニ神」を観想し、(2)において「智的存在としてのアグニ神」を観想し、前者のアグニ神と合一させる。さらに(6)において、合一させたアグニ神を僧自身の身体内部に引き入れる観想を行なう。以上のようにこの千投奉献護摩ではマンダラおよび諸尊の観想が行われ護摩という儀礼行為に個人的宗教行為である観想法が精神的要素を付け加えている。またこの護摩では、いろいろな種類の供物が使用されており、シュラウタ祭式で火の機能が重視されるのに比べ、護摩では供物の機能が重視されている。これはネワールの護摩が供養の影響を強く受けていることを示している。以上のことが本研究で明らかになった。
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