研究課題/領域番号 |
12610110
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
宗澤 忠雄 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (40219861)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2001年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 青年・成人期知的障害者 / 価値意識の発達 / 自己決定 / 自己認知 / 対人認知 / 友人関係概念 / 労働場面と生活場面 / 葛藤とその解決 / 親密性 / 葛藤回避傾向 / 生活年齢効果 / 知的障害 / 青年・成人期 |
研究概要 |
本研究は、労働と生活に分化した日常生活パターンをもつ青年・成人期知的障害者の人格発達に関して、能力発達に先行する価値意識の発達の諸相を明らかにし、知的障害のある人たちの自己決定の支援に向けた基礎資料を得ることを目的とする。埼玉県内の知的障害者援護施設を利用する20〜32歳の男女計10名に協力を得て、WAIS-R、WISK-RおよびK式発達検査を行った上で、労働場面と生活場面に区別された自己認知、対人認知および友人関係概念(Friendship Conception)の面接聞き取り検査を実施した。 本研究の結果と考察は次のとおりである。(1)20歳台後半以降に、自己認知、対人認知、FCのすべてに高いレベルの発達が認められ、これらが能力発達に先行する程度は、一般児童との比較では1〜2段階である。この知見は、青年・成人期にふさわしい労働と生活に分化した生活経験の保障と、児童とは異なる視点をもつ支援の重要性を明らかにしている。(2)自己認知は労働場面優位の発達が、対人認知は生活場面優位の発達がそれぞれ認められ、これらは、一定の価値軸と役割で枠づけられた対人関係と自己の役割遂行への集中という労働場面の特質を、多様な価値に開かれた他者とのかかわりを基本とする生活場面の特質を、それぞれ反映したものと考える。(3)FCの発達では、FCを構成する6領域(形成・親密・信頼・嫉妬・葛藤とその解決・終結)における水平的なずれと「葛藤とその解決」の山が認められた。各領域の視点間の統合が行われず、領域ごとの解決ストラテジーに終始してしまうことによって、人間関係にトラブルを招きやすい状態にあることを意味している。(4)FCの発達に関連する実際の労働・生活場面では、「嫉妬」や「葛藤とその解決」というネガティヴな感情を伴う経験が抑圧される傾向にあることが認められた。すでに「大人」であるとして「嫉妬」「葛藤」の表現を抑圧せず、それらを「じっくりと噛みしめる」ことを支援するような、価値意識の発達そのものを保障することの重要性を示唆している。
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