研究概要 |
本研究では,男女混成の共同作業集団において,どのような要因がジェンダー・ステレオタイプ化を促進または抑制するのか,またジェンダー・ステレオタイプが集団生産性にどのような影響を及ぼすのかについて明らかにしようと試みた。得られた結果は次の通りである。 (1)否定的もしくは肯定的ジェンダー・ステレオタイプの内容を吟味した。その結果,伝統的ジェンダー・ステレオタイプが現在でも保持されているものの,大学生サンプルは社会人サンプルに比べて非伝統的な傾向があった。女性ステレオタイプは男性ステレオタイプよりポジティブに評価されていたが,女性の方が男性より均質化されていることも明らかになった。 (2)ジェンダー・ステレオタイプ化がどのような要因に規定されるのかを,職場集団における調査と実験室実験によって検討した。職場集団において,組織への所属動機が高い人ほど,ジェンダー・ステレオタイプ化に関して職場の規範に影響される可能性が示された。また,職場における性別構成比がステレオタイプ化の程度に関与していることが示唆された。さらに,ステレオタイプ化の抑制に果たす勢力および必然的ポジティブ感情の役割を実験的に検討したが,予測に反してステレオタイプ化は抑制されなかった。 (3)ジェンダー・ステレオタイプが集団の課題遂行に及ぼす影響を実験的に検討した。ジェンダー・ステレオタイプに基づく共同作業者の課題遂行能力の予測が,社会的手抜きまたは社会的補償を生じさせ,それが結果的に集団の成績に影響することが示唆された。
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