研究課題/領域番号 |
12610151
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
|
研究機関 | 甲子園大学 |
研究代表者 |
金川 知恵 (金川 智恵 / 金川 智惠) 甲子園大学, 人間文化学部, 教授 (70194884)
|
研究分担者 |
坂田 桐子 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00235152)
黒川 正流 九州女子大学, 文学部, 教授 (90037036)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 自己概念 / 柔軟さ(flexibility) / 精神的健康 / 否定的経験の原因帰属スタイル / ストレス対処方略 / 現実自己 / 規範的自己 / 能力自己 / 柔軟な自己概念 / 自己概念の非一貫性 / 葛藤事態 / coping strategy / 非一貫性 / 文節化 / 認知構造 / flexibility / ジェンダーアイデンティティ / 規範自己 / 道具性 / 表出性 |
研究概要 |
本研究の目的は自己概念の構造が精神的健康や社会的適応に及ぼす効果を検討することである。その際、自己概念の下位側面の「非一貫性」に注目し、その適応的意味を検討した。われわれはScott(1960)の認知の柔軟性の概念を援用し、自己概念の下位側面間に非一貫性が存在する場合を「柔軟な自己」と定義した。取り上げた下位側面は、規範的(should self)、行動傾向(actual self)、及び能力(can self)の3側面である。われわれは下位側面間の関係性を規定するのは"can"selfの高低であると考え、"can"selfが高く、下位側面間に非一貫性が存在する肯定的非一貫性タイプが最も精神的健康度や生活満足度が高いことを見出してきた(平成12年度研究成果)。平成13年度は柔軟な自己概念の内実を精査すべく、他の認知様式との関連を検討した。柔軟な自己概念タイプのもつ柔軟な認知スタイルは、換言すれば分節化した認知スタイルである。それ故、柔軟な自己概念は否定的経験の原因帰属においても分節化した認知をすると我々は予想した。結果は予想通り、柔軟な自己概念タイプ(肯定的非一貫性タイプ〕は否定的経験を、ある時点に限定したものであり、自己の他の領域には影響は及ばないという分節化した認知スタイルを示していた。 最終年度は、柔軟な自己概念タイプがなぜ精神的健康を高めるのか、そのメカニズムの検討を行った。われわれは、肯定的非一貫タイプは,ストレス事態に際して効果的な対処方略を採用することができるために精神的健康度が高くなると予想した。柔軟な自己概念タイプは、柔軟でない自己概念タイプ(HHH)に比べると、制御可能性に応じた適切な対処採用パターンを示す傾向が顕著であると予想したが、下位側面の非一貫・一貫の如何に拘わらず、"can"selfが高いと問題焦点型対処を多く採用していた。しかし対人依存型対処については、柔軟な自己概念タイプは、対人依存型対処の採用度をストレス事態の違いによって変化させており、仮説の一部は支持された。
|