研究課題/領域番号 |
12610284
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
湯川 嘉津美 上智大学, 文学部, 教授 (30156814)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 幼児教育思想史 / 幼稚園観 / 小西信八 / 中村五六 / 倉橋惣三 / 誘導保育論 / 幼児教育思想 / 幼稚園 |
研究概要 |
本研究は、近代日本における幼児教育思想の形成と展開を、比較教育思想史の手法を用いて歴史的に検討することを通して、日本の幼児教育思想の系譜とその特質を明らかにしようとするものである。 本研究において検討対象とした主な人物は、日本の保育界をそれぞれの時代においてリードした中村正直、関信三、小西信八、中村五六、倉橋惣三である。本研究によって得られた成果は、以下の通りである。 中村正直、関信三について、欧米の幼児教育思想の受容という側面から検討を行った。従来明治初期の幼稚園理解は形式的なものにとどまっていたとされているが、当時輸入された外国幼稚園書の分析から、中村や関はフレーベルに関する書を読み、フレーベルの幼児教育思想と伝統的な日本の幼児教育思想と折衷させながら、創設期の幼稚園教育の基盤作りに尽力していたことが明らかになった。 小西信八と中村五六は、東京女子師範学校(のち女子高等師範学校)附属幼稚園の監事(主事)として、幼稚園の普及に尽力した人物である。本研究では彼らの幼稚園の日本化の取り組みに焦点をあて、検討を行った。その結果、彼らがフレーベル伝に幼稚園教育の根本原理を学びながら、幼稚園の日本化を企図したこと、また、中村五六による附属幼稚園分室の設置は、フレーベルの思想に依拠しながら、中上流層の保育も下層の保育も、その精神は同じと捉える中村の幼稚園認識があったことが明らかになった。 倉橋惣三はフレーベル研究者として出発し、その後、アメリカの幼稚園改造運動に学びながら、自らの保育理論(誘導保育論)を構築した。それはフレーベルの根本精神を受け継ぎながら、日本の子どもの生活や文化、伝統を踏まえて構築されたものであり、<日本の幼児教育>を創造しようとする姿勢に貫かれていた。ここにおいて日本の幼児教育思想は確立され、それは今日においても幼児教育の根本思想を示し続けているのである。
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