研究概要 |
本調査は、日本の大学における異文化・異文化コミュニケーション教育実態と問題点を明らかにすることを目的とした。各大学で「異文化」、または「異文化コミュニケーション」を扱っている科目を選択し、62の大学で開講される総計107科目の担当者80名から回答を得た。その結果は以下の通りである。 教育の必要性については、75名(93.8%)が「必要」と回答している。教育開始時期として、「幼稚園」レベルという回答者が24名(30.4%)、「小学校」レベルが46名(56.2%)、「中学校」レベルが57名(72.2%)、「高等学校」レベルは59名(74.7%)、そして「大学」レベルが55名(69.6%)であった。教育目的については、「自文化の存在を客観的に認識・理解させるため」(n=64,81%)が最も多く、次に、「異なる文化圏の存在を受け入れ、尊重させるため」(n=61,77.2%)、「異なる文化圏の存在を認識、理解させるため」(n=60,75.9%)、「自文化の存在を受け入れ、尊重させるため」(n=53,67.1%)、「外国人とのコミュニケーション一般について考えさせ、理解させるため」(n=47,59.5%)、「外国人とのコミュニケーションの上達をめざすため」(n=33,41.8%)が続いた。 教育上の問題点としては、「授業内容」(理論・知識と実践・体験のバランスの悪さ)(n=34,54.8%)、「環境」(カリキュラムなど教員一個人で解決できない事柄)(n=25,40.3%)が最も多く、次に、「教員」(専門家の不足、教員の未熟さ)(n=14,22.6%)の問題が挙げられた。少数意見として、「学生の態度」(n=5,8.1%)(外国人とのコミュニケーションと解釈し必要性を感じない学生が多い)、「テキスト」(n=4,6.5%)(日本の現状に基づいたカリキュラム・テキストが少ない)の問題が指摘された。
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