研究課題/領域番号 |
12610315
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 愛国学園大学 |
研究代表者 |
高橋 美和 愛国学園大学, 人間文化学部, 講師 (40306478)
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研究分担者 |
岡田 知子 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (70292993)
上田 広美 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (60292992)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ジェンダー / カンボジア / 小説 / 文学 / 文化人類学 / 表象 / 家族 / 親族 / 言語学 / 女性 / 言語 / メディア / 農村 / 都市 |
研究概要 |
本研究は、1970年代以降の内戦やそれに伴う社会混乱のために欠落が生じていた、現代カンボジアにおける「価値」について、ジェンダーという側面からのアプローチを試みたものである。文化人類学、言語学、文学というそれぞれの領域から、現代カンボジア社会のジェンダー構造と表象の相違について考察するのが当初の目的であった。試行錯誤を経て、カンボジア語に関する社会言語学的ジェンダー分析は期待したような結果が得られないことがわかった。このため、方針を若干変え、(1)現実の社会関係に見出せるジェンダー構造、(2)カンボジアのジェンダー政策、(3)文学表象の中のジェンダー、の3点からのアプローチとすることにした。 (1)に関しては、高橋がタケオ州の零細稲作農村部における家族・世帯・婚姻・親族について、一村集中調査を行ない、核家族世帯の優勢とともに拡大家族世帯構成が柔軟であること、結婚後の妻方居住の優勢、娘相続の優勢、婚姻プロセスや通婚圏のジェンダー差などを明らかにした。成果報告書(冊子体、以下同じ)には、この調査結果から発展させた(1)女性世帯主世帯の家計戦略におけるジェンダーの貢献、(2)カンボジア人の名付けシステムとジェンダー、についてそれぞれ報告した。 (2)に関しては、上田が政府のジェンダー政策を反映するカンボジア語諸文献を検討した。そのうち一つの資料の抄訳を成果報告書に掲載した。 (3)に関しては、岡田が大衆雑誌の短編小説について、登場する男女の属性とその恋愛関係を分析し、かつての理想的な女性像「スライ・クロプ・レアック」(あらゆる良き性質を備えている女性)に代わり、「クロモム」(字義通りには、処女)への言及が増えていること、しかし、女性としての価値はクロモムに収斂するわけではなく、結婚することが女性としての成功として描かれることが多いことを指摘した。 成果報告書では、(1)〜(3)を統合する論文は掲載できなかったが、現代カンボジア社会の持つ「価値」の側面へのジェンダー・アプローチとして、議論の幅を広げる端緒となったと考える。
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