研究課題/領域番号 |
12610357
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 秋田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
脇野 博 秋田工業高等専門学校, 人文科学系, 助教授 (80220846)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2001年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 近代化 / 林業技術 / 森林鉄道 / 輪伐 / 伐採技術 / 森林資源 / 森林保全 / 職人身分 |
研究概要 |
日本における林業技術の近代化過程の特質を、在来技術と近代技術の連関に重点を置いて分析することによって明らかすることを目的にした。そこで森林鉄道及び輪伐、青森・秋田・木曽・山口・下北の各林業地に関する近世・近代期の資料(文献・史料・図絵)を調査・収集し、目録と資料データベースを作成した。このデータベースに基づいて分析を行った結果、以下の知見を得た。 1、近代運材技術である森林鉄道は、在来運材技術体系の限界を克服するために導入された。津軽では全運材工程が森林鉄道に置き換わり、新しい近代的運材技術体系が成立した。秋田・木曽では運材工程が部分的に森林鉄道に置き換わり、在来運材技術の一部が近代運材技術を補完するものとして残存したため、半近代的な運材技術体系が成立した。森林鉄道導入という近代化の過程で成立した運材技術体系が林業地によって異なっていたのは、冬季運材のみであった津軽に対して、秋田・木曽には夏季運材も存在したという、在来運材技術の地域的独自性によるものであった。以上のように、林業技術のうち運材技術においては、各林業地ごとに独自に形成された在来技術に規定されて近代の技術体系が成立した。 2、萩藩(山口藩)の輪伐制度であった番組山は、森林保全思想や計画性を重視した画期的な施策であったが、藩財政窮乏化による濫伐によって実質的には機能しなかった。秋田藩や盛岡藩では近世中期から後期にかけて輪伐制度を実施したが、明治初頭に廃止された。このように、林業技術のうち森林管理技術である輪伐においては、在来技術は近代初頭には廃絶状態にあり、その後国有林において近代化の一環として実施された輪伐制度とは断絶しており、在来技術と近代技術は連続性を有しなかった。
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