研究課題/領域番号 |
12610396
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
西洋史
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
中野 隆生 東京都立大学, 人文学部, 教授 (90189001)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2000年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
|
キーワード | 住宅 / 民衆 / 都市社会 / 田園都市 / 生活様式 / 都市 |
研究概要 |
パリ地方の田園都市を通して、20世紀フランスの都市・住宅のかんする諸問題を把握し、現代社会の形成と仕組みに迫ろうと、田園都市のプランや写真など、今後につながる貴重な史資料を入手し分析に着手した。しかしながら、田園都市の実証的研究から20世紀都市社会の諸問題を本格的に検討する作業は今後に残さざるをえなかった。現時点において都市や住宅から20世紀社会に接近するには、近現代都市史研究の現状をサーヴェイするとともに、視角を拡大し方法を鍛える必要があると考え、そのための試みを先行させたからである。 こうして、労働、社会関係、国家などを扱う多様な歴史研究に広く視線をそそぎつつ、フランスにおける近現代都市史研究の現状を理解する努力を積み重ねた。並行して、近現代都市史にかんするフランスと日本の研究をつき合わせて検討することに、歴史的事実の比較や確認にとどまらず、有効な視角や方法を構築する手掛かりを見出そうとの狙いをこめて日仏共同研究を推し進めた。その成果のひとつが、2001年10月の日仏シンポジウム「近代都市史の新展開:日常性、ネットワーク、表象」であった。 以上のような試みの結果、フランスにおける近現代都市研究にとって、社会集団との関連において分節化した空間を把握すること[具体的には、民衆世界の内的構造の再検討、重層をなす空間的区分(セグレガシオン)の解明、都市空間にかかわる様々な表象の検証]が重要な課題であることを確認した。また、日本における都市史が国民国家とのかかわりを強く意識するのにたいし、フランスではさほど直截に国家に接続しては都市を論じない傾向など、問題意識に大きな違いのあることが判明した。こうした差異を追跡するところから、フランス都市社会の新たな側面が明らかとなり、その歴史像が書きかえられることであろう。
|