研究課題/領域番号 |
12610505
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英語・英米文学
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研究機関 | 成蹊大学 (2002) 大妻女子大学 (2000-2001) |
研究代表者 |
庄司 宏子 成蹊大学, 文学部, 助教授 (50272472)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | アメリカ文学 / 女性史 / 神経衰弱 / ユートピア文学 / 北極 / アメリカ建国期 / 感受性の文化 / 誘惑小説 / 感受性文化 / アメリカ文化 / 都市と健康 / ジェンダー研究 |
研究概要 |
本研究は、アメリカ建国期から20世紀半ばに至るまで、アメリカ文学に描かれた女性像とその文化や思想との関わりを捉えることを研究主眼とした。研究手法として特定の作家や作品を扱うのではなく、ある事象や関心を共有するテクストを純文学、大衆文学、ユートピア小説等、幅広く研究対象とし、またS・ウェア・ミッチェルなど著名医師による小説や女性参政権運動家による自費出版の小説など文学史上はあまり知られることのない作品などを取り上げた。また新聞雑誌の記事や広告も分析することで、社会や文化全体を見渡す視野を得るよう試みた。研究成果は4つの論文である。扱った時代とジャンルおよび作品は、18世紀末建国期の誘惑小説、19世紀半ばから世紀末にかけて「アメリカの病」といわれた神経衰弱をモチーフにした小説、19世紀末のユートピア小説、20世紀初頭の南部社会を描いたウィリアム・フォークナーの『死の床に横たわりて』である。各時代に現れた女性像は同時代の思想やイデオロギー(建国期の共和政体、社会進化論、フロイト思想など)と結びついており、正と負のしばしばステレオタイプ化された女性イメージが同時代の文化の中に並存した。建国期の「建国の母」と「コケット」、19世紀末の「家庭の天使」と「病(そして狂気)の女」がそれである。19世紀末のフェミニストはこうした女性イメージを超克するものとして「優生学的な母性」を創出したが、これは優生学に影響を受けた学問や思想、公衆衛生改革が浸透した20世紀初頭には「科学的母性」という女性像へと変貌した。1920年代、大衆化されたフロイト思想が流行し、子供の精神や心理に及ぼす母親の影響が強調され、全米母親会議などが提唱する健康的な母性が社会の規範となる時代に、その反転像となる母親像をフォークナーはその小説の中に描いた。
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