研究課題/領域番号 |
12610529
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
独語・独文学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
石井 正人 千葉大学, 文学部, 助教授 (50176145)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2001年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ルードルフ・フォン・エムス / 後期中世ドイツ文学 / 文学公共圏 |
研究概要 |
本研究は二つの方向において実績を得た。 第1に、ルードルフ・フォン・エムスに関する個別的・具体的研究について、研究史上の最高の到達点であると同時に、それ以後30年近く研究が進展を見なくなってしまったため今もって今後の研究の出発点となるブルクハルト・ヴァッヒンガーとヴァルター・ハウクの研究業績について批判的検討を行ったことである。両者の主要論文の抄訳とそれに対する私のコメントを、研究成果報告書「冊子体」に発表する。ここで得られた成果の1つは、前近代の文学から近代・現代への歴史的変化の上に対象を正しく捉えようとするなら、新たに文学史理論そのものを構築しなければならないという認識が新たになったことである。これはとりわけハウクの問題意識と大きく重なり合うが、そこを更に越えて我々は、この30年間に現代文学の方が決定的な環境変化を経験していることを深く認識し、これを十分に踏まえた上で新たな文学史理論を構想しなければならない。その変化とは、勿論「インターネット革命と文学」という問題であり、そこから改めて脚光を浴びた、ハーバーマスの言う「文学公共圏」の史的展開の問題である。 ここから第2の方向に研究が進展し、実績を得た。コンピューターそのものが文学にとって持つ意味、インターネットが文学にとって持つ意味、この観点から「文学公共圏」という概念が持つ文学研究上の意味について、業績表にある通り、総論を含めて4部構成の試論を発表した。総論である「コンピューターと文学」に「インターネット文学の現状」「インターネットと文学公共圏」「インターネットと言語変化」を加えたこの一連の論考のうち前二者は発表媒体の都合により一部割愛されたり短縮されたりした形で発表となったので、完全原稿を研究成果報告書「冊子体」において発表する。まだ試論の段階であり、インターネットと教育の問題などは殆ど触れられていないなど、今後の課題は多いが、今後「文学公共圏」論を、これまでのように近代市民社会におけるサロンやカフェの文化的創造力を中心に展開する視点から、近世のアカデミー・言語協会や、中世文学の「上演の場」をも含んだ、総じて文学的コミュニケーションの通時的展開という視点へと、改めて理論的に発展させるべき重要な課題が明らかになった。
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