研究課題/領域番号 |
12610567
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
宮田 Susanne 愛知淑徳大学, 文化創造学部, 助教授 (40239413)
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研究分担者 |
西澤 弘行 (川島 弘行 / 西澤 弘行(川島 弘行) / 西澤 弘行(川島)) 常磐大学, 人間科学部, 助教授 (50296068)
中 規夫 (中 則夫) 大阪学院大学, 国際学部, 講師 (70278555)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 言語獲得 / 語彙獲得 / 日本語 / 英語 / マザリーズ / インプット |
研究概要 |
本研究では幼児の言語発達における初期語彙の獲得を調査した。これまで提案された語彙の発達に関与する不偏的な領域固有制約(名詞が認知的に獲得しやすい)、および言語タイプ(語順、動詞活用屈折の複雑さ)という二つの要因に加え、初期語彙が実際の言語入力という第三の原因の影響を検証する。これは、母親が子供に対してしようする言語に含まれる情報が、子供の名詞バイアスを形成する環境を整えるのである。 調査した結果、母親の言語入力が子供の言語発達に応じて一時的に変化し、子供の語彙獲得に対して、母親の言語使用が有効に引き金となることが明らかになった。本来動詞中心の日本語(動詞が文の最後で注目されやすい位置にある;主語や目的語が省略され、動詞が単独で提示される)の場合には、母親の言語は子供の言語発達段階に合わせて、動詞中心から名詞中心に使用が変化することが確認できた。このような名詞中心的なスピーチパターンが特に絵本場面で強く現れた。特徴として、名詞の種類が多く、数も多いので名詞率がタイプ・トークン共に高いことがわかった。名詞が単独で提示されることも多い。会話レベルでも、名詞を多く使うだけではなく、物について説明したり、その名称を聞き出したりすることが多く、動作より対象物のほうがフォーカスされる。このような名詞中心の言語入力が日本語の子供の場合でもの名詞バイアスを生み出すということおがうまく説明できる。 しかし、母親の間に、どの程度名詞中心的なスピーチパターンに移行するのかについてかなりの個人差が見られた。よりバランス的なスピーチパターンを示した母親の子供は、文法発達的な差は認められなかったにもかかわらず、名詞に限って、ほかの子供より語彙数が少なかった。4組の親子を比較した結果、母親の名詞の使用頻度(60分に対するトークン数)および名詞率、単独提示の名詞率、そして対象物に関する発話率、と子供の名詞バイアスの間に相関が見られた。 結果として、このような母親の名詞中心的なスペーチパターンが子供の言語獲得に影響し、日本語で専攻文献でも報告された名詞バイアスを作り出すことが考えられる。
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