研究課題/領域番号 |
12620003
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎法学
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
大江 泰一郎 静岡大学, 人文学部, 教授 (00097221)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | 法文化 / 法外的秩序 / 非法(non-droit) / ロシア / 慣習法 / 非法 |
研究概要 |
1.「法外的秩序」の発見 ルネ・ダヴィッドの『現代の大法系』に典型的にみられるように、ニクラス・ルーマンの言う意味での<法の実定化>を経験した近代以降の西欧の学者は、制定法の存在しない社会的圏域を「慣習法」の領野とみる傾向があるが、旧ロシアの農民共同体においては、<法>にまで到達しない発展段階にある一種の<習俗>現象(相関的状況倫理)が支配していたこと、この現象が社会主義ソ連における<法治国家の不在>の重要な歴史的根源の一つをなしていること、を主張した。なお、ロシア以外の諸国(現代)における「法外的秩序」の存在を認める学者として、近年では、フランスのカルボニエと日本の北村一郎がいる。 2.ウェーバー「法社会学」の弱点の克服 比較法文化研究においては、ウェーバーの「法社会学」は今日なおきわめて重要な意味が与えられている(彼はロシア農民共同体の内部秩序を西欧的な枠組から「特別法[Sonderrecht]」としてとらえる)が、「法の合理化」を基軸とする彼の方法論が、前記の「法外的秩序」の認識にとってはほとんど無力であったことを、指摘した。これは、ウェーバー法社会学の方法論そのものへの問い直しに発展しうる知見であると考えられる。 3.ルソー<ロシア論>の再発見 ルソーの『社会契約論』は、「ロシアはこれからもけっして文明化することはないであろう」とする、今日までの日本・西欧における思想家のなかでほとんど例外的でユニークな認識を展開するものであるが、この認識がいかに形成されたか、それがどのような意味をもつかを、とくにルソーが決定的な影響を受けたモンテスキュー『法の精神』の比較法文化論との比較において明らかにし、あわせて、ルソーの法概念がニクラス・ルーマンのいう意味での「法の実定化」にかかわる、今日の眼から見ても重要な意味を有するものであることを指摘した。
|