研究課題/領域番号 |
12620009
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎法学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 岩夫 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (80154037)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 法の動員 / アソシエーション / 自発的結社 / 法化 / 法意識 / 日独比較 / 自発的集団 |
研究概要 |
市民が権利主張や訴訟といったしかたで法を動員する場合にそこにどのような杜会的要因が作用しているかは法社会学研究の重要な課題であるが、本研究においては、個人をとりまく中間集団、とくにボランタリー・アソシエーションが個人の法動員に与える影響の重要性に着目し、ドイツおよび日本の事例について実証的な研究を行った。2年間の研究を通じて確認された主要な知見は以下の通りである。 まずドイツでは、消費者保護・借家人保護・環境保護・社会福祉などさまざまな領域でボランタリー・アソシエーションが市民の法動員を活発に援助する活動を行っており、かかるボランタリー・アソシエーションの活動が、ドイツ社会の「法化」を進行させた主要な原因の1つとなっている。 他方、日本でも、とりわけ1990年代以降、様々な分野でボランタリー・アソシエーションの活動が活発化しており、しかも、各地の市民オンブズマン活動に典型的に見られるように、その活動を法や訴訟に志向させる傾向も強まってきている。その際、ボランタリー・アソシエーションは、個人では調達困難な経済的・人的・知的資源を提供することによって個人の法動員を促進するとともに、構成員相互の日常的な接触やコミュニケーションを通じて法動員に積極的な法意識形成を媒介するという重要な機能を果たしている。今後このようなボランタリー・アソシエーションが一層の発展を遂げるならば、日本社会における法動員の場面が拡大し、そのマクロな集積として、日本杜会の「法化」が促進されるものと予測される。 以上を要するに、各国の法化の進行を、各国社会における中間集団、とりわけボランタリー・アソシエーションの広がりと定着という社会構造的要因によって説明するアプローチの有効性を示しえた点が、本研究の最も重要な成果である。
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