研究課題/領域番号 |
12620045
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 名古屋大学 (2001-2002) 千葉大学 (2000) |
研究代表者 |
菅原 郁夫 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90162859)
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研究分担者 |
佐藤 達哉 立命館大学, 文学部, 助教授 (90215806)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 弁論準備手続 / 法律相談 / テレビ会議システム / 法心理学 / 民事訴訟 / 法と心理学 / 争点整理 / 対人評価 / 心理学実験 |
研究概要 |
本年は、研究計画の最終年度であったことから、残された課題であるテレビ会議システムを用いた法律相談と、3年間の研究のとりまとめを行った。 まず前者にっいては、日弁連の法律相談センターの協力を仰ぎ、現在テレビ会議システムを用いた法律相談を実施している岡山弁護士会および青森弁護士会でのヒアリング調査を実施した。その結果、テレビ会議を用いた法律相談では、感情面の伝達に不自由が感じられるものの、その評価には二面性があり、相談者の意図が伝わりにくい反面、弁護士が相談者に対して良い感情を抱いていない場合などには、それを覆い隠すことができるといった評価も聞かれた。全般的な評価としては、遠隔地に実際に赴く、時間と経費の点を考えると、テレビ会議システムを用いることのメリットは大きく、今後積極的な運用を期待する声が大きかった。ただ、複数の相談者がきた場合、全員が一度には写りにくい点、書面の利用にはFAXを併用する必要がある点などの問題点も指摘された。これらの結果からすれば、テレビ会議による法律相談は、技術的障害を克服しつつも、今後積極的に利用されるべきと考えられるが、近時の法律相談の面接技術に関する研究では、相談者と弁護士との信頼関係の形成の重要性が指摘されているが、この面に関して、テレビ会議システムを用いることの影響をさらに検討する必要があろう。 3年間を通じての研究成果では、テレビ会議システムを用いた方が、弁論準備および法律相談のいずれに関しても、緊張感や恐怖心が和らぐといった効果が得られるが、反面、態度や性格の評価などに関しては、テレビ会議システムを用いた場合の方が、支障が大きいことが明らかになった。このようなテレビ会議システムの特性はある程度一般的なものであろうが、今後、テレビ会議システムを弁論準備手続や法律相談に用いる場合には、このような特性を十分に理解した形での利用が期待される。弁論準備においても法律相談においても情緒的対立要素の大きなものに関しては、テレビ会議システムの利用は適しない可能性はあるが、反面、貸し金の取り立てや破産事件などの定型的な処理が大部分である事件に関しては、迅速性や経済性の要求などから、テレビ会議システムの一層の利用が期待されるところでもある。
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