研究課題/領域番号 |
12620072
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
刑事法学
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
長井 圓 神奈川大学, 法学部, 教授 (50102215)
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研究分担者 |
町野 朔 上智大学, 法学部, 教授
矢島 基美 上智大学, 法学部, 教授
山本 輝之 帝京大学, 法学部, 助教授
臼木 豊 小樽商科大学, 商学部, 助教授
近藤 和哉 富山大学, 経済学部, 助教授
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 生命 / 改正法案 / 脳死判定 / 組織提供 / 公正手続 / 個人情報保護 / 臓器提供 / 同意 / 臓器移植 |
研究概要 |
本研究は、1997年10月11日施行の「臓器の移植に関する法律」の見直し(本法の附則2条参照)のための法的基礎を固める実践的理論を目的とする。 わが国の臓器移植法は、生命保持に臓器移植が不可欠な患者に対して脳死臓器移植を可能にするために立法化されたが、その要件は「臓器移植禁止法」に近く、法施行後今日まで脳死移植例の数も乏しく、現行法下では今後移植例が増加する見込みも乏しい。その根本的要因は、わが国では脳死を人の死とすることへの社会的合意が余りにも弱く、脳死移植を推進するための世論の基盤が欠けていることにある。しかし、同時に法律自体が、脳死移植への国民の不信感を解消して移植を推進しうるような規定となっていないことが、本研究により明確になった。すなわち、法律の根本的欠陥として、(1)生体移植の規定が全く欠けており、それよりも絶対的に安全な死体移植の必要性が国民に理解され難いこと、(2)脳死を人の死と明確化した規定が欠けること(6条1項)、(3)臓器提供意思の尊重(2条1項)を担保する法制度が脆弱であり、むしろ書面主義の不備や遺族の拒否により提供意思が実現されえないこと、特に(4)15歳未満の死者からの臓器提供を可能にする規定が不備なこと、(5)脳死判定を含む移植手続を公正化・透明化するための機構・制度も充分でないことなどがある。そこで、これらの問題点について、ドイツ・フランス・アメリカ・韓国等の法制度との比較研究を基礎にして、研究計画に沿って法改正のための具体案を提示することが可能になった。 その成果は、『臓器移植法改正の論点』(信山社)と題する図書(全330頁)として、2004年5月に刊行された。その内容は、第1部 厚生科学研究報告書、第2部 比較法、第3部 論争から成り、法改正に必要な重要な提言を示すものであり、法学・医学の分野で高い評価を受けている。その提言は、現在、国会に提出予定の法改正案にも生かされており、本研究の使命を達成しえたといえる。
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