研究課題/領域番号 |
12620095
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
竹中 千春 (藤原 千春) 明治学院大学, 国際学部, 教授 (40126115)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ガンディー / インド史 / 南アジア政治 / ナショナリズム / ジェンダー / サバルタン / 非暴力主義 / 紛争解決 / インド / 国民国家 / 歴史叙述 |
研究概要 |
本研究の課題は、「マハートマ(大いなる魂)」と呼ばれたインドの国民的指導者ガンディーを、20世紀のナショナリズム運動・思想と関連づけ、政治的・歴史的に分析することであった。第一の焦点は、カリスマ的人物ガンディーが民衆政治の世界でどのように歴史的に「創造」されたのか。第二の焦点は、西欧的なエリートと土着エリートが作り出したナショナリストの政治の世界で、聖者姿のガンディーはどのような意味を持ったか。第三の焦点は、民衆政治とエリート政治の合体した構築物として国民国家が作られ、その象徴がガンディーであるという仮説の検証である。 出発点としての拙稿「ガンディー--民衆の神、国民の父」をもとに、その後の研究とフォローアップを次のように展開した。特に、ガンディー主義的な政治を基盤にしながら、インドの過去と現在をどのように捉えるかについて以下の成果をまとめた。 (1)民衆政治という学問的フロンティアに、フイールド調査・資料調査・方法論という3つの側面から取り組んだ。短期間ではあるが、国内での資料調査と研究を踏まえ、フィールド調査を行った。デリーおよび北インド地域での都市と農村の住民の意識調査を行い、民衆にとっての国家やナショナリズムの意味を調査した。「暴動の政治過程-1992-1993年ボンベイ暴動」および「女性と民主主義」はその成果である。 (2)現在インドではナショナリズムをめぐって緊張が続いており、まさに「今」を捉え直す上で「過去」、すなわち歴史的なガンディー論や独立史が政治論争の的である。日本政治学会(2002年10月)に報告した「インドという理念」は、そうした問題意識から、ガンディー主義的なナショナリズムの現代的な再評価を論じている。 (3)科研応募時にはそこまで明確に意識していなかったが、この3年間は、ガンディー自身と彼の思想であった非暴力主義や市民不服従を、ジェンダー研究の視角から分析するという作業に最も力を入れる結果となった。「世界政治をジェンダー化する」「女性と民主主義」「武力紛争とジェンダー」「サティー論」の4点はそうした成果である。歴史的・政治的に民族や宗教をめぐる暴力的紛争を克服する可能性をめざしたガンディーと彼の思想は、国際政治的に、武力紛争をいかに克服するかという現代的な課題に大きく貢献すると思われる。
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