研究概要 |
経済時系列分析において様々なモデル分析の基礎となるガウス性ならびに線形性の統計的検定法を多変量時系列の枠組みへの拡張が本研究の目的であるが、経済時系列に対する多変量ガウス性検定の具体的構築法とその統計的性質の理論的研究およびモンテカルロ・シミュレーション法を用いた有限標本特性について研究を実施した。 まず,エルミート多項式にもとづく多変量ガウス性検定の構築に関して,正規変量のエルミート多項式変換による特徴づけを利用した多変量正規性検定にもとづいて新たに多変量ガウス性検定を構築した。その漸近理論と有限標本特性評価について研究をおこなった。提案する検定は、周辺時系列のガウス性検定のみならず変量間の相互関係に関するガウス性を検定することが可能であることを示した. さらに提案する検定法とを他の検定との比較研究を実施した.その際,他の多変量ガウス性検定として存在するWong(1998)による多変量スペクトラム検定を比較の対象とし、その有限標本特性の評価と新しく提案した検定との比較研究を行い,モンテカルロ法により提案した検定法の有限標本分布は多変量スペクトラム検定とほぼ同等の近似度を示し、また検出力に関しても同等の性質を有すること、くわえて、データ生成モデルのイノベーションに一様分布を仮定した場合に、提案する検定が多変量スペクトラム検定の検出力を凌駕することを示した。 最終段階では,1変量では非ガウス時系列であるが多変量ではガウス性と矛盾しない関係を共ガウス性と呼び、これを表現する「共通非ガウス成分を持つ多変量時系列モデル」を提案し.共ガウス性を検定する方法を提案した.その際,提案した多変量ガウス性検定を利用し,広範なシミュレーションによってこの有効性を示した.
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