研究概要 |
地方都市の中心市街地空洞化は、世界都市化経済のもとでの都市システムの変容、都市化経済のもとでの郊外化、少子高齢化社会での空間市場縮小といった3つ過程の複合化現象として捉えられ、少子高齢社会では人口の空間的流動性が二極化していくので,地方における中心部の機能構築と空間整備は定着性の強い人口に焦点を当てて都市空間整備を行なう必要ある。 地方都市の中心市街地の空洞化を促進したのは、改正大店法である、これは大型店出店を原則自由とするもので、巨大化・複合化戦略のなかで資本規模の大小にかかわらず、売場面積の拡大をはかりつつ、大店舗網のS&Bを進めた。例えばジャスコは提携・合併を繰り返し,中部・近畿をホーム地区としつつ全国に拡大しつつ、店舗のS&Bを進め、店舗が「ストック」としてではなく,「フロー」として取り扱われていること、そして規模と業態の異なる店舗を組み合わせて商圏の重層的掌握をねらっている。 地方中核都市を中心とした30都市を選定し、小売業概況、大型店立地動向、中心市街地における商業活動や歩行者通行量、中心市街地再構築の視点などを人口規模別に検討すると、商業集積拠点としての中心市街地が維持されうるか否かの分岐点は人口規模20〜30万人台にある。また福島県内においてみると、一方の極としては地方中核4都市における駅前型・市街地型の商業集積の空洞化が進んでおり、他方の極としては郊外におけるロードサイド型ないしは郡部町村での商業集中の動きがあり、これらの動きの中間地帯に住宅背景型や中小6市の中心市街地が位置している。 地方都市の中心市街地を活性化するには、消費者ニーズに対応した業態の転換や質の良い商品・サービスの品揃えを充実しなければならず、同業種・異業種を含め魅力ある個店が集積させることによって中心的機能としての結節性を獲得できる。当面の活性化のポイントはTMOであり、なお個性を見出せないが、特定会社型は商工会商工会議所型に比べれば、まちづくり運動に一定の蓄積があり、より多様な活動を行っている。例えば福島県会津若松市七日町通り商店街では「商業の活性化」ではなく、明治・大正期の建物の「修景を軸とした」まちづくり運動がワークショップ方式で進み、修景事業による空き店舗の解消、基本計画の策定、イベント導入などが積極的に進められ、会津若松市のまちなか観光の中心的役割を果たすまでになった。
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