研究課題/領域番号 |
12630059
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済政策(含経済事情)
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
篠崎 彰彦 九大, 経済学研究科(研究院), 助教授 (00315045)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | IT投資 / 情報化投資 / 設備投資 / 情報技術革新 / IT革命 |
研究概要 |
平成12年度においては、第一に、関連する各種の統計データなど研究の基礎となる資料の収集・蓄積を行いつつ、基礎データの作成、新データに関するこれまでの研究成果との比較検討、第二に、研究の現状に関する米国研究者との意見交換を中心に研究を進めた。 第一点目について、具体的には、最新の産業連関表をベースに、過去の研究成果である90年のIT投資の生産誘発力と95年のIT投資の生産誘発力を比較検討した。その結果、設備投資全体の生産誘発力は、90年に比べると低下しているが、IT投資に関してはあまり低下しておらず、他の投資に比べて生産誘発効果が大きいことが判明した。また、過去の研究では行っていなかったソフトウェアの固定資産を計上し、米国との比較検討した結果、日本ではハードに比べてソフトのIT投資が低水準であることが明らかとなった。しかし、これはデータ制約が大きいため、さらなる分析が必要である。さらに、雇用に関するデータを用いて、IT投資の雇用誘発効果を計算した結果、1兆円のIT投資は、直接間接に8万人の雇用を生み出すと試算された。 第二点目については、ITで先行した米国の90年代を再考するため、現地への海外出張を行った他、技術革新が日進月歩の研究分野であるため、企業における最新の動向についても常に把握できるよう聞き取り調査を随時行った。 具体的には、米国商務省にて『デジタル・エコノミー』の分析・執筆スタッフと米国の実情や研究手法・課題についてミーティングを行った。また、トヨタ自動車等への企業ヒアリングや研究者・研究機関との会議を東京、大阪、名古屋等で実施した。米国では、ニュー・エコノミー論争の論点が「ITで生産性上昇の加速が検証できるか」に絞られてきており、いくつかの反論は残っているものの、多くの実証分析では、90年代の米国でITが生産性上昇の加速に寄与したことを検証している。一連の研究の中で、いわゆるIT革命に関連しては、90年代米国の「競争政策」が重要であるという認識が得られた他、技術体系のシフトや知識経済化の進展に伴う「教育の継続」(すなわち教育産業)が雇用問題と密接に関係しているという新たな視点が得られた。他方、日本でITの経済効果を活かすためには、市場制度、企業システム、企業内組織、雇用等の構造改革問題に踏み込んだ視点が必要と考えられる。
|