配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
この研究により得られた結果は以下の通り。 研究代表者の吉岡康太は安定ベクトル束が存在するための必要十分条件を求め,またモジュライ空間の連結性を示した.モジュライ空間がコンパクトである場合には,そのアルバネーゼ写像を決定し,またそのファイバーが既約超ケーラー多様体になることを示した.Beauvilleは既約超ケーラー多様体にたいして複素解析的(双有理的)不変量である周期を導入しているが,吉岡はさらにアルバネーゼ写像のファイバーとしてあらわれる既約超ケーラー多様体に対して,その周期を向井格子を使って書き下した.またその変形同値類が多様体の次元にしかよらないという著しい結果を示した.これによりモジュライ空間の位相構造に関する研究は階数が1の場合に帰着された.方法はフーリエ・向井変換とK3曲面の複素構造の変形理論を使ってなされたが,その過程でフーリエ・向井変換と安定性の間の関係について研究した.さらに楕円曲面上の安定層のモジュライ空間、K3曲面上の2次元のモジュライ空間、Gromov-Witten不変量の研究等についての研究を行ないいくつかの成果を得た。 また研究分担者の斎藤政彦は3次元Calabi-Yau多様体の一般種数におけるGromov-Witten不変量(一般には有理数)の母関数が適当な変数変換により整数不変量(BPS状態数)を用いて得られるというGopakumar-Vafa予想について研究した.特にβ次元Calabi-Yau多様体の純次元1の連接層のモジュライ空間を用いてBPS不変量の数学的な定義の候補を与え,特殊な場合ではあるが現在までのGromov-Witten不変量の具体的な計算と,その定義が整合的であることを確かめた. 研究分担者の山田泰彦は有理楕円曲面の上のD-braneに関する興味深い研究をした.モノドロミー群,Mordell-Weil格子,アフィンワイル群等の数学的に美しい構造が物理の観点から新たに見直され,今後も有理楕円曲面上のベクトル束のモジュライとの関係等発展が期待される. 齋藤や山田は対称性や幾何の観点からパンルベ方程式を研究しとく齊藤はBacklund変換が双有理幾何学に現われるフロップであることを示し、また有理曲面の変形理論がPainleve方程式を導く事を示した.これはパンルベ方程式のRiccati解の分類への応用がある。
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