研究概要 |
工藤は,Bernoulliのp進的性質の計算,整数の素因数分解,Carmichael数の計算のためのアルゴリズムの研究を行った.B_nをn番目のBernoulli数とするとき,p進ゼータ関数のp進Euler定数γ_pがp(【greater than or equal】5)を法として-(β_<p-1>/(p-1)-1/p)と合同になり,これらのpを法とする値がp【less than or equal】20,000,000(2千万)の範囲で計算された.その結果,この範囲では,γ_p≠0(modp)(p≠5,13,563)であることが知られた.また,10^<17>以下のすべてのCarmichael数を,その素因数分解とともに求めた. 鷲尾は楕円曲線の類数とHasse不変量の研究を行い,有理点の個数を決定する方法を採用することによって,有限素体GF(p)上の楕円曲線がsupersingularとなるための一つの十分条件を導いた.また,その応用として,2項係数に関する,複数の新しい等式を導いた. 末吉は,2次体の狭義イデアル類群の4-階数と2元体GF(2)上の行列の研究を行った.まず,Redei行列を用い,2次体の狭義イデアル類群の4-階数の間のある新しい不等式関係を導き,次いで,Redei行列の階数が極小となる場合の特徴付けを行った.また,それらの応用として,虚2次体Kのイデアル類群が(4,4,2,2)型の部分群を持ち,-4がKの素判別式に含まれなければ,Kの2-類体塔が無限となることを示した. 丸山は,離散最適化問題を有限オートマトンの理論を用いてアルゴリズムの応用研究を行っているが,bitone sequential decision processと名付けられる新しい逐次決定過程の概念を導入し,一般の離散的決定過程が強表現を持つための必要十分条件を導いた.
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