研究概要 |
以下項目別に記述する. 1.Siegel保型形式に関連して:2次のSiegel保型形式とKoecher-Maass zeta 関数とのHecke対応に関するImaiの逆定理を使い易く定式化し,尖点形式でない場合にまで一般化した.それを用いてSaito-Kurokawa liftingをDuke-Imamogleの方法で再構成した(分担者佐藤と牧野潔夫氏(工学院大)との共同研究). 2.橋本予想の解決:Q上の定符号四元数環に付随したtheta級数に関する,早稲田大学の橋喜一朗氏によって提出された予想を,Jacobi形式,重さ1の保型形式に関するDeligne-Serreの定理などを用いて解決した(S.Boechererとの共同研究). 3.Selberg zeta関数の研究:Shimura対応のMaass波形式版であるKatok-Sarnakの仕事をSelberg跡公式とSelberg zeta関数を通してより深い形に見なおした.その応用として,群GL(2,Z).に関する素測地線定理を得た.またSL(2,R)のcocompactな算術的離散部分群に対してそのSelberg zeta関数を明示的に表示し,Brun-Titchmarsh型の素測地線定理を得た(小山信也氏,中筋麻紀氏(慶応大)との共同研究). 4.多重L値に関して:index mの多重L値のdouble shuffle relationとその正規化を研究した.また応用として多重L関数を考察し,s=0で極をもつ場合に,主要部を正規化を利用して完全に記述した(金子昌信氏(九州大)との共同研究). 5.概均質ベクトル空間の研究:分担者佐藤は,概均質ベクトル空間のb-関数が(多項式環上の表現についてある種の重複度1性の成立のしたで)表現の分解に対応する分解をもつことを示した.この結果により,いくつかの概均質ベクトル空間についてはb-関数の計算が著しく簡易化された(杉山和成氏(筑波大)との共同研究)
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