研究分担者 |
小池 敏司 兵庫教育大学, 教育学部, 助教授 (60161832)
福井 敏純 埼玉大学, 理学部, 教授 (90218892)
長岡 昇勇 近畿大学, 理工学部, 教授 (20164402)
佐久間 一浩 近畿大学, 理工学部, 助教授 (80270362)
淺井 常信 近畿大学, 理工学部, 講師 (70257963)
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研究概要 |
当研究立案時は,解析的特異点の特異点解消に現れる例外集合による付値の組が,特異点の上の函数芽に対して実際に取る値の全体のなす半群の構造を問題とした.しかし1個の例外集合に現れる半群のタイプを調べる渡辺敬一氏のグループの研究が現れ,その成果とその残した問いの困難さを見ることによって,やや力点を変えた. すなわち半群の組によって表される位数を調べた.一つは特異点の上にある曲線族に函数芽を制限したものの全体として定義される福井の不変量の計算とその周期性の研究「Computations and stability of Fukui invariant」である.これは共著者であり分担者小池敏司氏とT.-C. Kuo氏の問題意識によって出発したが,例外集合の成分による付値の問題に帰着することによって解決がついた.近年,特異点研究者の間で大話題を呼んでいるmotivic type不変量との関係が注目されている. ついで閉部分集合上の函数値がテイラー展開をどれだけ規制するか,部分集合のどのような性質がその規制の能率を測るかということを取り上げた.このために部分集合に対してSpallek函数を導入し,代表者の過去に得た位数の積の不等式や超越性の話と結びつけて,論文「Flatness of differentiable functions along a subset of a real analytic set」に纏め上げた.素朴で基本的なところに重要な問題が残されていたのである. さらにKhovanskii氏の来訪を機にBezoutの定理の解析的な拡張である,Noetherian函数の位数に関する零評価に関して結果を発表した.これは零評価の対象を従来よりはるかに一般化するものである. 一方,代表者の研究内容で最も重要な位置をしめてきた「函数の位数」について,きちんとした書物が欠けているので,吉永と分担者福井との共著「特異点の数理3:解析関数と特異点」において,多重級数の収束のような基礎から説き起こし,最新研究レヴェルの内容に至る解説を行った.
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