研究分担者 |
中川 泰宏 東北大学, 大学院・理学研究科, 講師 (90250662)
井関 裕靖 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90244409)
砂田 利一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20022741)
大仁田 義裕 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90183764)
藤原 耕二 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60229078)
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研究概要 |
平成12年度の研究実績は以下の通りである. 結晶格子上のランダム・ウォークの推移確率の時間無限大での漸近挙動の解析をし,特に極限に現われるユークリッド構造を,結晶格子を調和写像によってユークリッド空間に標準的実現するときに定まるユークリッド計量として特徴付けた. この研究の拡張として,結晶格子に磁場がかかった場合の粒子の運動の時間無限大での漸近挙動を研究した.グラフは1次元なので「磁場」の定義自体が自明ではないが,結晶格子に作用するアーベル群の2次コホモロジーを磁束と読み替え,対応するグラフの弱不変1-コホモロジーをベクトル・ポテンシャルとみることで,磁場の中を動く粒子の運動を記述する磁場付き推移作用素を定義した.更に上記の結果と同様,ある条件のもとに,与えられた磁場に対応するベクトル・ポテンシャルは,適当なユークリッド空間上の線形ベクトル・ポテンシャルを標準的実現によって引き戻したものになることをみた.これにより磁場付き推移作用素の中心極限定理を得た. また,負曲率閉多様体上の閉測地線の分布は本質的に基本群の構造を調べることになるが,前述の仕事の過程で開発した手法により,長さがx以下の閉測地線の個数のxが無限大に近づくときの漸近挙動と,力学系で重要な圧力との関連を明らかにし,漸近展開項にあらわれる係数を記述するために高次相関関数の概念を定義した.更に通常の相関関数が指数減衰をもつことと,対応する力学系の混合の早さには密接な関係があるが,上記の問題に派生して高次相関関数の指数減衰性を調べ,アノソフ微分同相の場合と,ある種の条件を満たすアノソフ流に関して高次相関関数の指数減衰性を示した.
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