研究概要 |
複素解析空間の特異点(X, o)について、その特異点解消空間はコンパクト代数曲線(リーマン面)の退化族に埋め込め、しかも例外集合が退化ファーバーに含まれているようにできるような状況を考え、そのような代数曲線族の種数の最小値を、その特異点(X, o)のPencil種数p_e(X, o)といいます。また、特異点とその上の正則関数fに対し、上のような退化族g : S→Dについてgの特異点解消空間上への制限がfとなるようなものを考え、そのような退化族の種数の最小値を(X, o)とfのペアにない対するPencil種数p_e(X, o, f)といいます。これらの性質を調べることで、2次元特異点と代数曲線族という代数(複素解析)幾何における2つの重要な対象の関連を調べるというのが本研究の目的ですが、主要な結果は以下の通りです。 [1]Pencil種数が基本サイクルの算術種数に等しくなる場合をweakly Kodaira特異点という。任意の2次元正規特異点(Y, o)の巡回被覆の正規化として得られる特異点(X, o)は、分岐を与える関数fにsemi-reducedといいう条件をつけるとweakly Kodaira特異点になり、しかも、それに付随している退化族の種数はp_e(Y, o, f)となることを証明した。 [2][1]と同様な状況において、fにreducedという強い条件を仮定すると、(X, o)はweakly Kodaira特異点になることを証明した。 [3]特異点解消の例外集合の情報から、p_e(X, o, f)の公式を証明した。特にfがreducedのとき、その値は、Xと{f=0}で決まる代数曲線の特異点のMilnor数を用いて表示出来ることを示した。 [4]種数が2以上のKodaira特異点である必要十分条件として、「例外集合がKodairaグラフであることとPencil種数p_e(X, o)が基本サイクルの算術種数に等しい」事を証明した。 [5]Kulikov特異点である必要十分条件として、あるreducedなfについてPcncil種数p_e(X, o, f)が基本サイクルの算術種数に等しい」事を証明した。 以上の結果は、"Pencil genus for normal sur face singularities"なるタイトルの論文にまとめられ、現在投稿中です。
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