研究概要 |
本研究で研究目的とした主な課題は, (1)"P(ω)が,weak Freese-Nation propertyを持つ",という命題からの帰結,および,これに関連する問題の研究. (2)連続体が大きな濃度を持つような集合論のモデルについての研究. (3)実数の集合論を含む,集合論的,無限組合せ論的研究. であった.(1)については,研究代表者と海外共同研究者のStefan Geschkeは,P(ω)のweak Freese-Nation propertyを弱めて得られるSEPや(N_1,N_0)-ideal prpertyなどと呼ばれる概念を考察し,これらの関係についての幾つかの結果を得,SEPの成り立つような,新しい集合論のモデルを構成した. 2002年に入ってから,Saharon Shelahは,SEPをさらに弱めた条件から,Juhasz, Soukup, Szentmiklossyによる組合せ論的命題C^s(N_2)が導けることを証明した.研究代表者は,.Shelahの証明を一般化し,これを用いて,Juhasz, Soukup, Szentmiklossyによる結果を再構成し,その一般化の別証を与えることができた. (2)に関しては,研究代表者とS.Shelahにより,「real-valued measurable cardinalが連続体濃度より下に存在するようなモデルで,純粋に数学的な性質に関して,Solovayが構成した,real-valued measurable cardinalの標準的なモデルと異なることが示せるようなものは存在するか?」という,本研究の海外研究協力者の一人であるD.Fremlinの提出した問題に肯定的な答を与えるようなモデルを構成することができた.このモデルにおけるSolovayモデルとの差異は,clubsuit pricnipleという無限組合せ論的な性質の連続体濃度での正否である. (3)に関しては,研究代表者と海外共同研究者のStefan GeschkeとLajos Soukupによる,almost disjoint setsに関する新しいcardinal invariantsの研究の他,研究分担者ブレンドル ヤーグ(Jorg Blendle)や,嘉田勝(平成12年度分担者),塩谷真弘(平成12年度分担者),宮元忠敏などによりいくつかの新しい研究成果が得られている.
|