研究概要 |
時間連続の可積分系と直交多項式との関連性は,従来から様々な観点から研究がなされてきている.しかし全ての時間・空間変数が離散変数である離散系の場合は,Spiridonov, Zhedanovらによる離散戸田分子方程式,離散Lotka-Volterra方程式と3項間漸化式を満たす直交多項式との対応関係などのいくつかの部分的な結果しか得られていなかった.そこで本研究課題では,離散可積分系と双直交多項式との関連について考察した.そのために,まず、様々な離散可積分系を個別的に調べ,それぞれ直交多項式・連分数展開との関係を明らかにしてきた.例えば、離散Hungry Lotka-Volterra方程式の半無限格子解と$N({\ge 3})$項間の漸化式を満たす直交多項式、結合型KP方程式とパフィアンにより表される歪直交多項式などの関係を広田のタウ関数を導入することにより解明した.これにより広範囲は適用範囲を持つ直交多項式の議論が可能となった.さらに,ここで得られる離散方程式は任意の間隔で離散化された方程式であり,不等間隔離散可積分系の導出手法を与えている. また、ここでの結果を用いた特異値計算アルゴリズムの開発に対する理論的支援がなされている.これは,解の表記が可能であり,Lax-pairを持つという離散可積分系の特徴を用いることにより,離散ロトカ・ボルテラ方程式と行列の特異値との関連を明らかにした.
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