研究概要 |
情報、システム科学分野のさまざまな問題が、正定値対称行列あるいはそのひとつの一般化である対称錐上の構造あるいは数理計画問題として定式化されるようになってきている。 本研究は、対称錐と関連の深いJordan代数を道具として 1.対称錐およびその部分集合の幾何構造や性質、特に情報幾何との関連、 2.対称錐上の線形計画問題アルゴリズムの開発と解析 3.これらの知見のシステム科学分野とくに制御理論への応用 を目的としていた。 これに対して研究実績としては 1については、情報幾何で特徴的な双対接続のJordan代数による特徴付け(裏ページ発表論文3)、錐の特性関数のレベルセット上のダイバージェンスの性質(発表論文2)やアファイン幾何との関連(発表論文1)、また対称錐上の平均の定義と測地線との関連(発表論文4)などの成果が得られた。 2については、1と関連して双対な接続に関して平坦の部分集合の重要性が明らかになっているが、計算量と曲率の明確な関係はまだ得られていない。部分的な結果は発表準備中であるが、今後の課題としたい。 3については対称行列の正定値性を順序とする不等式、いわゆる線形行列不等式を用いた応用的な結果を得た。制御理論への応用として、発表論文5,6をあげておく。
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