研究概要 |
・Lotka-Volterra型2種競争系を考え,周期的にこの2種の競争関係を中断する一定期間を与え,その期間中は,2種は独立して増殖するという仮定による数理モデルの解析を進めた結果,競争関係の時間間欠性の特性に依存して,絶滅するべき種の入れ替わりや2種の共存が実現することが明示された。そのような新しい相と競争関係の時間間欠性の特性を表すパラメータとの関係についての詳細な解析の成果の一部は,国内外の研究集会において研究発表済みであり,平成14年中に論文投稿の予定。 ・Lotka-Volterra型餌-捕食者系に,断続的な摂動を導入した数理モデルの解析を行うための数理的手法の研究に着手しその応用について検討した。P.H.Leslie(1958)によって発見的に導かれた数理的方法を拡張して研究した結果,Lotka-Volterra型餌-捕食者常微分方程式系について,その力学的特性を保持した差分方程式系による新しい離散力学系を構成することができた。また,この手法により,いくつかの基本的な数理生物学の常微分方程式系モデルに対して構成された離散力学系は,もとの常微分方程式系による振る舞いを定性的に継承したものとなることを確かめた。研究成果の一部は,国内外の研究集会において発表済み。 ・Lotka-Volterra型餌-捕食者系に,時間断続(間欠)的な削減項[周期的に削減のない期間とある期間が交互に繰り返される]を加えた数理モデルの性質についての研究を進めた。時間的に継続する削減項が加えられたLotka-Volterra型餌-捕食者系においては,初期値に依存して,有限時間で餌種もしくは捕食者種が絶滅する。しかし,削減を時間断続的なものに変えると,同じ初期値に対して,有限時間で絶滅する種が入れ替わることがある。研究成果の一部は,平成14年度中に国内外の研究集会において発表の予定。
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