研究概要 |
本研究の目的は、水面波の分岐問題に対する非対称解の有無を確認すること、そしてもし存在するならその発生のメカニズムを調べることである。非対称解の有無に関しては理論的には未解決であるが、J.A.Zufiria('87,'88)が数値計算によって求めた非対称解の例(モード(1,3,6)の解)がある。流体の深さが無限、有限の両方の場合で非対称解を求めているが、どちらも極めて微小な非対称性を示すものである。そこで我々自身の数値計算アルゴリズムを用いて、同様の非対称解を求めることができるかどうかを確かめてみたい、というのが本研究の狙いである。 具体的な研究計画は、下記のとうりであった。 1.現有アルゴリズムで、流体の深さが無限・有限の場合のチェックを行う。 2.別のアプローチを考える。 1.については非対称解は得られていないが、現段階で非対称解が存在しないとは結論できない。極めて精密な数値計算が要求される問題である。 本年度は、主として2.の別のアプローチを試みた。具体的には、水面波(surface waves)の一般化として、interfacial wavesを扱った。Interfacial wavesの分岐問題では、3重固有値の存在がわかっている。Zufiriaが得たモード(1,3,6)の非対称解が、この3重固有値の影響として捕らえることはできないか?というのがこのアプローチの狙いである。プログラムを作成し、数例の場合の分岐構造を調べた。しかし非対称解にはたどり着いていないが、今後も継続して調べていく予定である。 本年度の成果としては、上下流体のエネルギー密度比をパラメータとしで変化させたときに、分岐構造にどのような変化が起こるかを数値計算したことである。この計算を更に進めて、上記の3重分岐付近の構造を調べていきたい。
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