研究概要 |
(1)函数論で有名なリュービル型の定理はシュワルツにより,多項式増大度の解の存在・不存在に対し,緩増加超函数を用いて"方程式の全表彰に実零点が存在しないことが必要かつ十分"であるという風に一般化されたが,本研究ではフーリエ超函数とそのウルトラ超函数版を用いて,準指数的及び劣指数的増大度を持つ解の存在・不存在の条件を調べた.フーリエ超函数はシュワルツの緩増加超函数と異なり,無限遠のみに台を持つものが存在し,そのためリュービル型の定理が成立するかどうかは,方程式の全表彰の零点が実軸に漸近する速さで決まることを発見した.(2)森本・吉野による無限遠の一点に台を持つフーリエ超函数の具体例構成法を一般化し,アールフォースの歪曲定理を用いて,あらゆる準解析的増大度のフーリエ超函数で同様の例を実現するのに成功した.(3)イルクーツクのバランディン氏との共同研究として,3次元空間に分布したベクトル場の数少ない方向からの内積投影データに基づいて,元のベクトル場のソレノイダル部分を再構成するという少量データトモグラフィの問題を,ベクトル型球面調和函数展開を用いて解決する再構成理論を築いた.(4)D加群の誤り訂正符号への応用の手始めに,まず従来型の代数幾何符号の新しい例を実装し,それをカラー画像に組み込んでみた.(5)超局所解析の画像解析への応用研究の一般的準備として,通信とグラフィカルインターフェースの実装を開発し,基本的な暗号プロトコルへの応用として,公平なコイン投げ,その日本版である安全なじゃんけん,および3人参加のポーカーゲームを,ユニックスのソケット通信とX11上でグラフィカルに実装した.また基礎理論として,院生とともに画像の特異スペクトルの定義を与えその挙動を調べた.
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