研究分担者 |
佐藤 直紀 長岡工業高等専門学校, 一般教育科, 助教授 (90280370)
竹内 茂 岐阜大学, 教育学部, 教授 (30021330)
剣持 信幸 千葉大学, 教育学部, 教授 (00033887)
伊藤 昭夫 近畿大学, 工学部, 講師 (30303506)
山田 雅博 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (00263666)
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研究概要 |
偏微分方程式のシステムを用いて,1次元形状記憶合金の時間による変化を記述した数学モデルは既にいくつか提唱されている。それらは全て,形状記憶合金の力学的変化を表現する重要な変数である歪みと応力の関係を多項式などのいわゆる関数とみて,モデルを構成している。ところが,実験上ではその関係は通常の関数ではなく,ヒステリシスと呼ばれる過去の履歴に依存する作用素によって表現されることが知られている。そこで,本研究において,ヒルベルト空間上で定義された凸関数の劣微分を含む発展方程式の理論をもとに,歪みと応力の関係を過去の履歴に依存する,すなわちヒステリシス作用素を直接非線形偏微分方程式のシステムに組み込んだモデルを提案し,その近似問題について数学的に考察してきた。まず,第一段階として問題を次のように近似した。ヒステリシス作用素は常微分方程式のデータと解との関係によって完全に同値である。従って,ヒステリシス作用素の代わりにその同値な応力が解となる常微分方程式をシステムに取り込んだ。しかし,その場合,解すなわち応力の空間に関する正則性が十分ではないので,常微分方程式に拡散項を加えた放物型方程式で近似した。この近似問題に対する解の存在,一意性を証明した。次に,微分方程式に対する解の新たな一様評価を得ることができたので,先に近似した常微分方程式をそのままの形でシステムに加えた問題の適切性を示すことができた。
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