配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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研究概要 |
この研究ではベルグマン核およびセゲー核から強擬凸領域の幾何的な情報を取り出すために次の二つの手法を試みた: 1)領域Dの定義関数r(z)>0を一つ固定しr(z)>tで与えられるDの部分領域をD(t)とする. D(t)のベルグマン体積要素に対する体積V(t)のtが0に近付くときの漸近展開を求める. 2)定義関数の冪r^aを重みとするベルグマン核を考えそのaについての解析接続および留数を解析する. 1)については体積V(t)のtでの漸近展開の対数項の係数が領域Dの双正則不変量であることを示し,さらにこの量はセゲー核の境界での漸近展開の対数項の積分と一致することを証明した.複素2次元領域に限ればさらに,セゲー核の対数項は共形幾何に現れるQ曲率と自然に対応することを示した.これは理論物理におけるAdS/CFT対応の類似と見ることができ複素解析に新しい視点を与えている. 2)については重みをもつベルグマン核がマイクロ関数として複素平面全体まで解析接続可能であり,その極は整数値のみに現れることを示した.各々の極での留数は領域の境界のCR不変量と関係し,とくに一1での留数はセゲー核の漸近展開の対数項と一致し,0での留数は通常のベルグマン核の対数項と一致することがわかる.これは,いままで個別に解析されていた再生核の漸近展開を統一的に扱うことを可能にする効率のよい手法を与えている.また解析接続を考えることにより,今までその意味はわからなかった,漸近展開の普遍定数についてもaの多項式としての意味を与えることができ,これからの解析の手がかりになると期待できる.
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