研究概要 |
我々は現代の解析学を古典物理学によって,見なおし,研究を深めることを行った.以下がその成果の概要である. 山口は平衡磁場ベクトルポテンシャルを用いて,ポアンカレが1896年のActa Math.J.において,球とdiffeoの場合に示し,一般の領域の場合にも(物理的に見て)正しいに違いないと予想したDirichlet-Neumannに関する問題のアルゴリズムによる解法を(境界が実解析的の場合に)解決した.その論文は準備中である. 微分方程式論において「リースの存在定理」は不可欠であるがそれは抽象的なものと見なされていた.坂本はこの定理が実は具体的な近似公式であると言う画期的な論文を筑波数学紀要に発表した. 宮武はコロモゴロフによって40年前に提出されたNavier-Stokesに関するKolmogorov Flowの問題を数学的に完全に解決し,東北大学数学紀要に発表した.また一階の偏微分方程式に関する「上空移行の原理」を確立し,一階の偏微分方程式からハミルトンの常微分方程式系を導いた.それによって非線型偏微分方程式(∂u)/(∂t)+H(t, x, y,(∂u)/(∂t))=0の解の具体的作成法を見出し,解の性質を調べた.
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