研究課題/領域番号 |
12640196
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎解析学
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
草野 尚 福岡大学, 理学部, 教授 (70033868)
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研究分担者 |
山田 直記 福岡大学, 理学部, 教授 (50030789)
西郷 恵 福岡大学, 理学部, 教授 (10040403)
陶山 芳彦 福岡大学, 理学部, 教授 (70028223)
内藤 学 愛媛大学, 理学部, 教授 (00106791)
吉田 範夫 富山大学, 理学部, 教授 (80033934)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2001年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 非線形微分方程式 / 特異性を持つ微分方程式 / 特異解 / ブラックホール解 / ホワイトホール解 / 特異性をもつ微分方程式 |
研究概要 |
私は、スロバキアの友人Jaroslav Jaros教授との非線形微分方程式の定性的理論に関する共同研究の過程で、偶然、ある特殊な非線欣青造を持つ2階常微分方程式に、過去の文献に全く現れたことのない新種(珍種)の特異解が2種類存在するという現象を発見し、これらをブラックホール解、ホワイトホール解と命名した。この発見は、非線形微分方程式の解の構造に関する研究が再検討されるべきであることを示唆するもので、私は、これら2種類の新しい特異解の存在と非存在の理論を作り、その他の(通常の)特異解との関連を精密に調べ、最終的に正常解を含む解の全体構造を解明することを目指す研究の必要性を認識した。 本研究は、このような考え方に基づいて発案され、研究組織が構成され、申請の採択と同時に(実際にはそれ以前から)開始され、2年間に亘り精力的に実施された。ブラックホール解については、単独の方程式の場合、微分作用素に特異性があるものに限って存在することが示され、その為の必要十分条件が導き出された。 ホワイトホール解については、単独の方程式の場合、微分作用素に特異性がないものに限って存在することが示され、そのための必要十分条件が得られた。この結果は、2種類の特異解を有する微分方程式の非線形性の間に顕著な双対性(duality)が存するという事実を明らかにした。これらの新種の特異解が、高階の非線形微分方程式(単独及び連立)に対しても存在するであろうとの予想の下で膨大な計算を行い、先ず2次元の2階非線形微分方程式系に対して肯定的な結果を導くことに成功した。さらなる一般化は今後の課題として残された。また、新種の特異解がその他の特異解と共存し得る非線形微分方程式の具体例が確認された。特異解の統一的理論の構築には未だ時間がかかりそうである。 解の全体構造を知るためには、正常解についての考究が不可欠である。本研究においても当然それが実行され、特異解を持ち得ない微分方程式、特異解と正常解が共存する微分方程式が多く取り上げられ、正常解の定性的性質が様々な角度から詳細に吟味され、理論的に価値ある結果が導出された。 2年間に亘る本研究に対する助成に衷心より謝意を表して報告を終える。
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