研究課題/領域番号 |
12640231
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
須藤 靖 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20206569)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | コスモロジー / ダークマター / ギャラクシーズ / クラスターズオブギャラクシーズ / バイアス / ヌメリカルシミュレーション / cosmology / dark matter / galaxies / clusters of galaxies / bias / numerical simulation / 銀河 / 銀河団 / 宇宙論 / 数値シミュレーション / 非線形重力 |
研究概要 |
(1)暗黒物質ハローと高密度ピークの2点相関に対する非線型確率バイアス バイアスのもつ非線型性・確率的要素は、重力レンズ効果などを使えば、将来、直接観測できるようになるが、こうした観測だけから質量分布の3次元データを再構成することは困難である。従って、シミュレーションに基づく解析から、現実の天体がどのようにバイアスされているか、経験的理解を得ることも不可欠となる。ここでは、バイアスに対する重力進化の影響に特に着目し、N体シミュレーションを用いて、仮想天体に対する非線型確率的バイアスの性質(スケール依存性・時間的進化)を調べた。質量分布の3次元データから、重力平衡にある領域(ハロー)と高密度領域(ピーク)を選び出し、カタログデータに反映される非線型確率的バイアスの性質を2点相関の評価を通じて、定量化した。その結果、バイアスの非線型性・確率的要素は、重力の非線型性に伴って増大し、天体の特性(サイズ等)に強く依存することが示された。その一方、準非線型・線型領域では、バイアスはスケールに依らない単純な線型関係になり、仮想天体とダークマターの一対一対応が、かなりいい近似として成り立つことが明らかになった。さらに、そうした領域では解析的モデルによる理論予言ともよく一致することも確かめられた。 (2)宇宙論的流体シミュレーションを用いた銀河、銀河団のバイアスモデルの検証 Press--Schechter理論は解析的な近似理論として、銀河団に関する宇宙論的予言を行う際にひろく使われており、最近では、その拡張版理論により、天体分布の空間バイアスを扱う研究にも応用が広がっている。我々は、拡張Press--Schechter理論に基づき、ダークマターハローの非線形確率的バイアスの解析的モデルを構築したが、解析モデルの妥当性、特にガスの力学進化を考慮した際の影響を調べるため、200万個のガス粒子および同数のダークマター粒子を用いて、SPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)シミュレーションを行った。合計6モデルのシミュレーションを行うことによって、銀河団スケールにおいては、解析的近似では無視されている幅射冷却や背景紫外線幅射による加熱を考慮しても、Press--Schechter理論の予言する温度関数が良い近似であることを明らかにした。さらに、シミュレーションから同定した銀河・銀河団の空間相関をダークマターハローの解析的モデルと比較することで、ガスの力学進化を考慮しても、解析的モデルが銀河・銀河団スケールの天体分布をよく記述し得ることを明らかにした。
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