研究概要 |
本研究の目的は,中性子過剰核の典型である^6Heおよび^<11>Li核におけるソフト・ダイポール共鳴状態の存在を理論的に探索し、存在するかどうかの理論的結論を得ることである。H12-14年度の3年間に渡る研究をつうじて、3つの課題について以下のように期待した成果を得ることができた。 (1)3体クーロン分解反応断面積に見られるソフト・ダイポール共鳴の研究 ^6He→^4He+n+nクーロン分解反応の理論的研究(H12)、^<11>Li→^9Li+n+nクーロン分解反応の理論的研究(H14):複素座標スケーリング法を用いて、3体分解反応を理論的に取り扱う新しい理論をつくった。この新しい理論を^6He,^<11>Li,のクーロン分解反応に適用し、ソフト・ダイポール共鳴の寄与を明らかにし、連続状態からの寄与を分析して2体共鳴状態を経由する反応からの寄与が大きいことを明らかにした (2)コアの自由度を取り入れた拡張されたコア+n+n模型による結合・励起機構の研究 ^6Heについて(H12)はテンソル力の効果と考えられる^4He-n-n3体力を摂動論的に扱い,コアの自由度から共鳴構造に対する寄与を明らかにした。^<11>Liに対する(H13,14),^9Li+n+n模型の問題点を明らかにし、外殻中性子だけでなくコアの中性子対相関の自由度を平等に扱う新しい拡張されたコア+n+n模型を提案し、チャネル結合3体問題を解き、^<11>Liの結合エネルギー、s波成分の混合によるハロー構造出現機構を議論した。 (3)s-軌道が仮想状態として存在する機構の研究 ^4He-n相互作用、^9Li-n相互作用の研究(H12、H13):Jost関数法を用いて3波仮想状態の分析を行い、相互作用の特徴と中性子ハロー構造との関係を明らかにした。
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